スタートアップはシンガポール

こんにちは。TabiOです。

2017年10月31日に世界銀行は世界190カ国・地域の起業のしやすさなどを順位付けした2018年ビジネス環境ランキングを発表しました。
今回はそのランキングに掲載された国について紹介したいと思います。

各国・地域の資金調達環境や電力供給、税制など10項目を分析し、毎年ランキングにまとめており、2018年版のランキングでは以下のような結果となりました。

1位:ニュージーランド
2位:シンガポール
3位:デンマーク
4位:韓国
5位:香港

34位:日本

アジア勢の健闘も目立った。上位3カ国はいずれも2017年版と同じでした。
日本は34位となっています。

今回はランキング2位になった、シンガポールにスポットを当てて行きます。

シンガポールは東南アジアに位置し、人口約560万人の国で、兵庫県の人口と同じくらいです。
国としての規模はそこまで大きくないのですが、1人当たりGDPが52,887ドル(日本は35,203ドル)とアジアで2位、世界でも8位の経済強国として知られています。

経済強国だけでなく、シンガポールは起業しやすい国としても有名です。
下記のような理由が考えられます。

  • 政府への手続きが簡単
  • サポートや援助金が充実
  • 法人税が低い
  • 様々な地域と手を組む

1つ1つ見ていきましょう。

政府への手続きが簡単

シンガポールでは、政府への会社設立の登録が簡単で、すぐに会社を設立することが可能となっています。
登記はインターネットで1時間もあれば完了し、銀行で法人口座の開設手続きが可能です。
5営業日程で口座開設手続きが終わり、資本金の入金が可能になるため、1週間もあれば会社が設立できるようになっているのです。
外国籍の人が登記する場合でも、これに就労ビザ(EP)の申請・取得作業が追加されるくらいで、いたって簡単です。

サポートや援助金が充実

シンガポール政府は様々な援助金も提供し、スタートアップの起業家をサポートしています。
いくつか援助金を紹介します。

Early Stage Venture Fund

国家研究基金(National Research Foundation NRF)が管理する援助金で、ハイテクのスタートアップを対象としたものですが、援助を受けてから、5年以内に利子も含め返済が必要です。

Technology Enterprise Commercialization Scheme (TECS)

研究開発のスタートアップを対象とした援助金で、「概念の証明(POC)」と「価値の証明(POV)」の2部門に分けて実施されます。POCでは、未完成のビジネスの構想を対象に、25万シンガポールドル(約2,000万円)を上限として適格支出の最大100%を支援します。一方、POVでは既存の研究をさらに深める企業を対象に、50万シンガポールドル(約4,000万円)を上限に適格支出の最大85%を助成しています。

Sector Specific Accelerator Programme (SSA)

医療とテクノロジーの分野のスタートアップを対象とした援助金です。合計で7,000万シンガポールドル(約58億円)まで援助可能で、これまでSSAの援助金を受けていたスタートアップの中には、すでにスタートアップの段階を過ぎ次のアクセレレーターの段階に進んだ企業もあります。

Technology Incubation Scheme (TIS)

TISは国の技術革新及び起業の枠組みを構築する機関NFIEが管理する援助金で、将来性のあるテクノロジーへの投資援助を行っています。最高でも全投資額の85%まで援助してくれますが、援助額としては最高50万シンガポールドル(約4,000万円)までです。

上記のような援助金以外にも、サポートをしています。
One northというエリアに500ものスタートアップが集まるオフィスビルがあり、政府が積極的に融資を行っています。

家賃も中心地と比べて約4分の1ほどであり、コミュニケーションが活発なこのオフィスはスタートアップ企業にとって最適な環境と言えます。
また、起業家の育成にも力を入れており、シンガポール国立大学のインキュベーション事業「NUS enterprise」は技術や起業についての教育、企業のサポートを行っています。

法人税が低い

シンガポールの法人税率は17%となっており、世界的に見ても低い税率になっています。日本の法人税は29.7%(2017年12月現在)と定めらており、シンガポールより12%も高い基準となっている。
個人所得税率も最高で22%と低い税率となっている。日本は最大で45%(4,000万円超)なので、約2倍も違いがあります。
加えて、キャピタルゲイン課税も配当課税も相続税も0円なんです。
税率が低いのは事業をスタートする上でも安心材料になるかと思います。

様々な地域と手を組む

シンガポールは様々な地域や国と連携したプロジェクトを行なっています。
日本も例外ではなく、福岡市が提携している。
シンガポール政府系スタートアップ支援機関であるACE(正式名称:Action Community for Entrepreneurship)(以下、ACE)とスタートアップの相互支援に関する覚書(MOU)を福岡市と締結しました。
この締結により、福岡市に居ながらにして現地のマーケット情報の収集や創業相談が受けられるほか、ビジネスマッチング先の紹介や、ACEの推薦によりACEが運営するインキュベーション施設へ入居が可能となっています。
上記のように、情報を開示したり、締結している地域からの紹介で優遇されることもあります。
このようにシンガポールが他国からも積極的に人を受け入れ、スタートアップ企業を作りやすい環境を政府主導で作っているというのも起業がしやすい国に選ばれる1つの要因になっているのかもしれません。
今回シンガポールについて調べて見て、政府がスタートアップを推奨しているという点はとてもいいなと感じました。2018年以降もシンガポールの動きは要チェックです。
今後も世界のスタートアップ事情について紹介していきたいと思います。


参考記事