VRビジネス 特集

こんにちは。飯田如です。
本記事では、近年のVR技術の事情、VRを用いた流行りのゲーム、VR技術を利用した事業の中で投資を受けた事業の紹介をする。

近年のVR事情

「VRビジネスの衝撃」(新清士著 仮想現実が生む新市場を展望、日本経済新聞)を引用すると、

“VRが話題となったのは、Facebookがゴーグル型のVRディスプレーを開発したベンチャー企業、Oculus VRを2014年に20億ドル(約2200億円)で買収したことがきっかけである。”

本記事では、Facebookは2016年4月に開催した同社開発者会議「F8」で、ソーシャルメディアとVRを組み合わせたプラットフォーム「ソーシャルVR」、「ソーシャルVR」の具体的な例として「ToyBox(トイボックス)」というデモとデモ内で利用された「Oculus touch(オキュラスタッチ)」と呼ばれるVR機器、今後VR市場に広まっていくと予測されるVR機器、日本で実施されているVR関連のプロジェクトの一例を説明する。

「ソーシャルVR」というコンセプト

オキュラスVR社はFacebookに買収された後、新型のオキュラスリフトを作っていく中で、新しく「ソーシャルVR」というコンセプトを強調し始めた。
そのコンセプトがはっきり見えたのが、2015年9月の東京ゲームショウでお披露目された新しいコントローラーのTouch(タッチ)と、そのコンセプトデモの「ToyBox(トイボックス)」である。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

Oculus touch(オキュラスタッチ)

左右それぞれの手にOculus touchをはめて、3D空間で操作する新コンセプトのコントローラーである。
コントローラーの上部には親指で動かすアナログスティックと二つのボタン、人差し指の部分にはトリガー、さらに中指で操作するボタンがある。
コントローラーのまわりにはトラッキング用のマーカーが付いていて、VR空間における手の位置や角度を検出できるようになっている。
VR空間を利用した新しいユーザーインターフェースを生み出すことが意図されている。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

ToyBox(トイボックス)

デモの中では、別々のプレイヤー同士が、ボイスチャットをしながら、VR空間でコミュニケーションやインタラクションを楽しむことができる。
お互いの顔は無表情のアバターの顔だが、センサーから検出される頭や手の動きを通じて伝わってくるボディランゲージから、相手のプレイヤーが楽しんでいる様子も伝わってくる。
VR空間での動きがあまりに自分の手や身体の動きと一致するため、しばらく遊んでいるとコンピュータグラフィックスの世界にもかかわらず、脳が現実空間だと錯覚し始めるほどといわれる。
VRは個人で楽しむものというこれまでのイメージを劇的に変える。
Facebookにとっても「ソーシャルVR」というコンセプトは、重要な戦略になっている。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

Holodance(ホロダンス)

VRを用いたゲームがをきっかけとして流行ってきており、本記事ではHolodanceというゲームを紹介する。
HolodanceというOculus社のタッチコントローラーを使用した、音楽リズムゲーム2016年4月に初リリースされた。
フィットネスゲームに分類され、丸、螺旋のような形をした自分目がけて飛んでくるように見えるホログラムを、リズムに合わせてコントローラーを使用してキャッチしたり、ホログラムの形状に合わせてなぞったりしながら楽しむゲームである。
また、似たゲームとしてMcOusというゲームもありこちらもOculus Rift(オキュラスリフト)を使用して楽しむことができる。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

今後広まることが期待されるVR機器の使用例

一台のPS4とPSVRがあれば、プレイ終了ごとにヘッドマウントディスプレイをプレイヤー間で付け替えたりすることで、みんなでいっしょに遊ぶことができる。
VRだから一人だけで没入して遊ぶというものではなく、現実空間にいるほかの人とゲーム体験を共有することで、遊びの幅を広げることをPSVRは最初から意識して開発している。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

「戦艦大和」のバーチャルな復活を目指す

現実世界の延長線上ではなく、自分たちの作りたいバーチャル世界を作ろうという日本のVRらしい試みで、原寸大の「戦艦大和」をVRで復元しようというプロジェクトがある。
発起人となったのは、ベテランのゲーム開発者のニ志野六八氏である。
大手ゲーム会社などでゲーム開発を行った後に、2014年に自分の作りたいゲームを作るために起業した。
何か新しいコンテンツビジネスを展開できないかとさまざま可能性を模索するなかで、Oculus Riftに出会った。
VRヘッドマウントディスプレイが、今後生み出していくと予測される新しい事業分野の一つがバーチャル観光である。
趣味のマニアが多い鉄道や城といったものを再現すれば、人気が得られるのではないかと二志野氏は考えた。
実物がまったく残っていない第二次世界大戦の軍艦であれば、「VRだからこそ再現できる体験を生み出せる」と二志野志は言う。
2014年12月、クラウドファンディングサイトの「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で「戦艦大和バーチャルリアリティ復元計画」の資金募集に挑戦してみることにした。
戦艦大和の精密なモデリングを行うためには、人件費やソフトウェア代などのコストがかかるため、その一部の資金の獲得を目指した。 募集金額は一口500円から開始し、2500円以上出資すれば完成したコンテンツを獲得することができるように設定したり、15万円や30万円という高額の出資金額も設定してみた。募集目標金額は100万円とした。
一般からの資金を募集するクラウドファンディングは日本ではまだまだ定着しておらず、数百万円でも集めることは容易ではない。
ところが、募集を開始してわずか一日半で、目標金額の100万円を突破する結果となり、とても驚いたそうである。
(「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」(新 清士著)を引用)

結論

VRを応用した事業が様々な業界で立ち上がっていっているのが、近年のIT業界の動向であることが言える。
VRがアミューズメントに利用されたり、ニ志野六八氏のように別業界からVRに携わるエンジニアが現れたり、「バーチャル観光」のように新しい事業が立ち上がったりとVR市場だけでなくVRを用いた新たな市場が、今後拡大していくものと思われる。


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