イノベーション創出拠点としてのアフリカ
皆さんは「アフリカ」と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?
サバンナや自然豊富な地域、貧困地域、経済発展等、様々なイメージを持たれると思います。
実は今、アフリカではテクノロジー分野で急成長を始め、イノベーション創出拠点として活躍し始めています。
世界初のサービス
2016年10月ルワンダにおいて、世界初のドローン物流サービスが開始されました。
政府支援の下、アメリカのZiplineが開始したサービスであり、山岳地帯でスムーズな物流が困難なルワンダにおいて、救急医療品等の運搬を実施しています。
ドローンを活用した遠隔地への医療提供サービスのイノベーションは、現在ではアメリカにも輸出され、実用化に向けて検討がなされているところです。
このように新興国市場で生まれたイノベーションを逆流させて先進国でも展開することをリバースイノベーションといいます。
アフリカにイノベーションが起き始めている。
アフリカにスタートアップ企業やイノベーション創出が起こる背景として、資源依存型経済からの脱却の必要性が挙げられます。
アフリカの主要国の輸出品の多くが石油、金、天然ガス、鉄鉱石等の資源が占めており、資源価格の変動により経済の影響を受けやすい状態になっています。
価格変動のリスクと将来的な資源の枯渇による収入源がなくなるリスクを回避するため、新たな事業の創出が求められています。
また、先進国とは異なり、インフラの整備が行き届いていないところもあり、民間による新たな事業に対して政府も積極的な支援を実施しています。
こうした動きにベンチャーキャピタルやスタートアップ支援組織などが関わり資金面でのイフンラが整い始めています。
ここで最先端のアフリカ初のスタートアップの事例をいくつか紹介します。
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- ナイジェリア発のInterswitch(https://www.interswitchgroup.com/)
デジタル決済のインフラ企業で、ナイジェリア・ケニア・ウガンダで事業を展開している。
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- ケニア発のMedios。
インフルエンサーによるプロモーションを施策を実施ている。ケニア人の多くは広告を信用せず、口コミを重要視する文化があるため普及している。
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- ナイジェリア発のJUMIA(https://www.jumia.com.ng/)
アフリカ最大のECサイト。ECサイトに加えフードデリバリーサービスや旅行予約サイトなど多岐にわたる商品を展開している。
人材輩出のサイクル
スタートアップをする起業家には様々なバックグラウンドを持って、起業をしている人たちがいます。
先ほど紹介したJUMIAの創業者の2人は、ハーバードのビジネススクールを卒業して、欧州の企業の経験を積んだ後に起業しています。
他にも南アフリカのカーシェアリングサービスを展開しているLocomuteの創業者は、南アフリカのネルソンマンデラメトロポリタン大学のMBAで出会い、現地の企業で働いてから起業に至っており、現地のビジネススクールや企業から輩出されている生え抜きの人材たちです。
また、マフィアエコシステムで起業している人たちもいます。
マフィアエコシステムとは、創業したメンバーがまた別の企業を立ち上げたり、投資をしてさらに別の企業で活躍していくことを指します。
マフィアエコシステムではPayPalという企業が有名で、PayPal創業者はテスラ・モーターズのイーロンマスク、youtube創設者のチャド・ハーリー、LinkedIn創設者のリード・ホフマン、投資家のピーターティールらがPayPalマフィアとして有名である。
アフリカではJUMIAマフィアが有名です。
JUMIA出身者が、Africa Courier Express、Travelbeta、Suregifts等、日本にはあまり馴染みがありませんが、現地では活躍している企業です。その企業を立ち上げたメンバーが、さらに投資家となって新たなスタートアップに支援するという流れが少しずつでき始めています。
いかがだったでしょうか。アフリカのイメージが少し変わったのではないでしょうか。
他にもアフリカではイノベーションが起こる様々な出来事が起きていますが、日本でもインフラが整っているからこそ0ベースで考えイノベーションを起こしていくことが大事なのではないでしょうか。
未来技術推進協会でも、世界へ飛び立つ日本発のイノベーションを生むべく最新技術の発信や技術者との交流を深め、発展に貢献していきたいと思います。