ESG投資のひとつ、グリーンボンドとは?!

こんにちは、一護です。
過去の記事で、特定の社会問題の解消・改善を目指す社会的事業に調達資金を充当する「ソーシャルボンド」について触れましたが、今回は類似の債権であるグリーンボンドについて見ていきます。


グリーンボンドとは

グリーンボンドとは、企業や地方自治体などが、グリーンプロジェクト(環境改善効果をもたらす事業)の資金調達のために発行する債権です。
グリーンプロジェクトには、再生可能エネルギーや、生物多様性保全、気候変動に関する事業などがあります。

グリーンボンドの歴史は比較的新しく、その草分けは、2007年に欧州投資銀行が発行した「Climate Awareness Bond」とされています。
現時点で、グリーンボンドに関する国際的な共通ルールは存在しませんが、国際資本市場協会(International Capital Market Association:ICMA)が2014年1月に定めた「グリーンボンド原則」(Green Bond Principles:GBP)が最も広く参照される基準となっています。

GBPによると、グリーンボンドは下記4つの条件を全て満たすべきとされています。

  1. 資金使途がグリーンプロジェクトに限定されていること
  2. 対象プロジェクトの評価・選定プロセスが透明であること
  3. 調達資金が適切に分別管理されていること
  4. 調達資金の使用実績を定期的に報告すること

GBPの他にも、GBPをベースとしたいくつかの国際的、あるいは国ごとの基準が存在しますが、GBPとの整合性について、外部の評価を受けることが推奨されるとしています。
日本でも、2017年3月、環境省が日本版のガイドラインを初めて策定・公表しました。

グリーンプロジェクトへの注目が世界的に高まってきている背景には、2015年9月の国連サミットにて設定された「持続可能な開発目標(SDGs)」や、同年12月の国際気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて採択された「パリ協定」があります。

国際的な合意事項である「SDGs」や「パリ協定」の達成には、グリーンボンドを通じて、さらに多くの民間資金を地球温暖化対策へ 導入していくことが不可欠です。

グリーンボンドのメリット

グリーンボンドは、発行する団体、投資家の双方にとってメリットがあります。

まず、グリーンボンドの発行体である企業や地方自治体などにおいては、グリーンプロジェクト推進に積極的であることをアピールでき、社会的な支持の獲得が期待されます。

また、投資家においては、グリーン投資によるPR効果や、ESG投資が、長期的なビジネスの成長・収益性確保の観点から注目されていることが挙げられます。

実際、諸外国でのグリーンボンドの発行額は急増しており、2012年は31億ドルだったところから2017年には1555億ドルに達しているところを見ても、グリーンプロジェクトへの関心が高まってきていることが分かりますね。

グリーンボンドの課題

グリーンボンドが普及するにつれて、グリーンボンドの国際的な共通ルールの欠如が関係者の多くから指摘されています。

現在、国際的に最も普及しているGBPも自主的なガイドラインであり強制力はありません。その結果、グリーンボンドという名の下に、多様な債券が発行され、中には、その「グリーン性」に疑義が生じるものも出てきているようです。

また、グリーンボンドの発行により調達された資金が、実際にグリーンプロジェクトに充当され、環境改善効果を挙げているかどうかをチェックし、その遵守を確保する枠組みは十分に確立されていません。

そのため、グリーンボンド発行者が、グリーンプロジェクトに関する約束を破るといった事例も、今後出てくる可能性があります。

こうした問題への対処として、国際的な共通ルールの策定や、規制的な枠組みを導入することが考えられます。

しかし、厳しいルールや規制を導入することは、取引コストを高め、通常の債券と比べて相対的にグリーンボンドを不利にし、発展の芽を摘んでしまう恐れがあるとして、そうした方向性には賛否両論があります。市場の信頼性と取引の効率性のバランスをどのように図るかがポイントとなりそうですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。
グリーンボンドに関しては様々な課題はあるものの、今後さらに普及していくことが予想されます。日本でも、2017年に東京都がグリーンボンドを発行(機関投資家向けに100億円、個人投資家向けに約1億豪ドル)したことで注目を集めつつあります。

私たち未来技術推進協会では、投資家、企業、大学を結ぶ架け橋となり、テクノロジーで社会課題を解決するというビジョンのもと、SDGsを知るためのワークショップやアイデアソン等様々なイベントを行なっています。

SDGsについて知りたい、どんなアクションをすれば良いのか検討したいという方は、是非一緒に課題に向き合い、解決していければと思います。

以上、一護でした。

参考