今後の鍵を握るモジュール化とは?

こんにちは!遠野駆です。
近頃はモノやサービスなどが溢れ、全く世の中になかったものを1から全て自前で作る必要がないケースが多くなっているように思います。
そうした中で、今あらためて注目されている「モジュール化」について紹介します。


モジュールとは?

交換可能な構成単位や標準化された要素を意味します。
特にIT業界では、システムの一部を構成するひとまとまりの機能を持ち、容易に追加や交換ができるようなもののことを指し、それらを利用することにより巨大なシステムにおいても保守性や再利用性などを実現してきました。

例えば、認証やログインなどサービス中の様々な場面で利用する機能も、独立して用意することで、コードの品質やバグの把握など時間のロスを減らすことができます。

こうした観点は、昨今の製造業のように、顧客や市場のニーズの移り変わりが早い業界において、開発までの期間(リードタイム)を短縮しながらコストを抑えるため、必要な概念となってきています。

そんな多様なニーズに対して柔軟に対応していくための解決策として、業界を問わずモジュール化が活用されています。

広義な意味でのモジュール化の事例

参考ページ『モジュール化って何?』でも、モジュール化はIT業界に限らず自動車産業や金融業界、エネルギー業界など多くの業界で注目されているそうです。

では、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

  • デンソー、日立らの事例に学ぶモジュラーデザインの実践
  • https://www.sbbit.jp/article/cont1/32834
    こちらは自動車業界の一例で、エンジンの温度調節をしているラジエータをモジュール化したケースです。
    この取り組みによって、受注に応じて7本の製造ライン、サイクルタイムの異なる大小数百種類ものラジエータを一貫自動生産する工場を実現しました。

  • POSシステム(Point of sales=販売時点情報管理)
  • https://it-trend.jp/words/pos
    コンビニやスーパーなどでいまや当たり前に使われているが、大変画期的な機能です。
    POSシステムを導入することで、各店舗での入力に対して「いつ、どの店舗で、どの商品が、いくらで、どれだけ売れたか」という商品販売実績データ、在庫管理を行なうことができ、天候による影響調査なども行う事ができます。

これらの機能は厳密には店舗によって異なる点もありながら、商品情報を入力して決済を行うなど共通の処理については、同様に扱うことができます。

モジュール化の課題

  • 設計検討や修正が難しい
  • 先の自動車の例でも触れたが、ひとまとめにすることで管理コストの削減にはなるものの、場合によっては設計の工数拡大や、かえって修正箇所が膨らむことも大いに考えられる。

  • コモディティ化
  • 標準化に対して、それによるコモディティ化も否めない。例えば、多数の類似商品が市場に出回っている状態では、市場の優位性を保てず価格競争になることが予想されます。

  • 目的と手段のギャップはないか
  • 日本でもAPIを公開しているサービスは数年前に比べて増加してきています。ただし、このときに、APIを利用してもらうことやAPIを利用することが目的になってしまうと、上記2つの課題に繋がる恐れもあるので注意が必要です。

モジュール化の解決策

  • 多様性への対応
  • 品質の維持・管理のため、標準化を図ることはたしかに大事ですが、それにより制約が強まったり、かえって設計や保守が難しくなることも懸念されます。
    モジュール化の際、的確な機能を判断したうえで分離・調整することで、その先の多様なサービスへ適用が可能となります。

  • 独自サービスの提供
  • 最近では、WebAPIなど、モジュール化した企業の独自技術が外部に提供されているものもあります。そうした技術もうまく活用しながら、組み合わせで新たなサービスの創出が期待されます。

まとめ

先日に引き続き、エクスポネンシャルテクノロジー(書籍:エクスポネンシャル思考)からモジュール化について書いてみました。指数関数的な成長が期待できる技術の1つで、今後さらなる展望が期待されます。

今回の記事作成にあたり、同じくエクスポネンシャルテクノロジーとして取り上げた「ビジネスエコシステム」(参考記事)と同様、特定の分野で使われている技術や機能がそれ以外の業界で形を変えて活用されていることは大変興味深いことです。

私たち未来技術推進協会では、「SDGs」と「未来技術」をテーマとしたアイデアソンやハッカソン、協会オリジナルSDGsボードゲーム会などのイベント企画を開催しております。
老若男女問わず様々な意見が集まる場を提供することで、一人では思い付かなかったような新たな発想が生まれる、そんなコミュニティ作りに今後も励んでまいります。

以上、遠野駆でした。

参考