イノベーションの鍵はビジネスエコシステム?その①

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イノベーションの鍵はビジネスエコシステム?その①

みなさん、こんにちは。鈴木彩です。

今回はビジネスにおける「エコシステム」についての記事です。
ビジネス用語として耳にする機会が増えてきているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

このエコシステムは経済・マーケティング・ITなどの様々な分野でも広まりつつあり、イノベーションの鍵をにぎるとも言われています。
今回は、ビジネスエコシステムの概要について説明します。


ビジネスエコシステム

上記でも示した通り、ビジネスエコシステムとは、企業間の相互依存関係の事を指します。
業種や業界に関係なく様々な企業や団体が手を組み、それぞれの持つ技術や強み、資本などを活かし合いながら世界規模で共存・共栄する仕組みのことで、自然界における生態系になぞらえてこの名前で呼ばれるようになりました。

エコシステムとは、生物学における生態系のことです。自然界では多種多様な種が存在しており、これらの相互依存関係(食物連鎖など)がうまく機能していることでエコシステムが持続・繁栄し、結果として個別の種が存続していきます。

この仕組をビジネスの場でも取り入れることで業界全体だけではなく、個々の企業の繁栄にもつなげることが出来ます。

一例として、Apple社はiphoneやiTunes Storeなどのプラットフォームを構築し、音楽や映画などのコンテンツ制作はレコード会社や映画配給会社が行っています。これも企業間の相互依存関係であり、エコシステムとなります。

ビジネスエコシステムをうまく機能させ、製品やサービスを含む価値の創造・獲得のためには以下の2点に着目する必要があります。

①各企業の役割と企業間の相互依存
②競合も含めたエコシステム全体の繁栄

一体何のことかイメージが湧くでしょうか。1つずつ見ていきましょう。

①各企業の役割と企業間の相互依存

ビジネスエコシステムを構築する上で、企業の役割には大きく分けて2つあります。

  1. ハブ企業
  2. プラットフォームを構築し、他企業が価値を創造・獲得するためのインフラを提供

  3. ニッチ企業
  4. ハブ企業のプラットフォームのインフラを利用して価値を創造する
    ※ここでいうニッチ企業とは、市場の隙間を意味するニッチではありません。

ハブ企業は多くの企業と繋がりがあり、エコシステムに大きな影響を及ぼします。主な活動としてはビジネスエコシステムの価値を作ることです。例えば、プラットフォームとなる製品の開発、ニッチ企業の活動支援、取引関係の設計などが該当します。

それに対し、ニッチ企業は個別の影響力は限られるものの、企業の総数が多いことと多様性に富んでいることが特徴です。価値を生み出すという点においてエコシステムの大部分を占めています。

例を示すと、ゲームビジネスにおいては任天堂株式会社や株式会社ソニー・インタラクティブエンタテイメントなどのようなハブ企業がハードウェアを生み出すことでプラットフォームを構築し、株式会社カプコンや、株式会社スクウェア・エニックスなどの企業がゲームソフトを生み出すことでゲーム業界を繁栄に導いています。

ゲームの業界ではインターネット上のゲームや、携帯アプリなども増え、エコシステムの構造はより複雑になってきていますが、1社のみではなく、競合も含めた企業が協力し合うことで業界全体が共存・共栄してくことができます。

では、次にエコシステム全体の繁栄には何が必要か見ていきましょう。

②競合も含めたエコシステム全体の繁栄

自然界のエコシステムを考えると、共存の関係にある種もいれば、食物連鎖のように捕食関係にある種もあります。

例えば、肉食動物が草食動物を捕食し、草食動物が植物を捕食する関係です。草食動物にとっては肉食動物が、植物にとっては草食動物が天敵となりますが、天敵がいるからこそ、個々の種は適切な個体数でエコシステムを維持することができます。
これもまた、間接的ではありますが共存関係と言えるでしょう。

このように、天敵との間接的な共存関係はビジネスの場でも当てはまります。競合企業の関係です。
ハブ企業同士が競合であったとしても、両者と取引することで、共存しているニッチ企業もあります。

一方のハブ企業のプラットフォームを活用して売上を伸ばしているニッチ企業があるならば、もう一方の競合であるハブ企業は競合とする企業によって存続していると言えます。

このように、一見競合同士であっても、取引している企業のネットワークまで視野を広げて複眼的に見ると実は共存関係にあるということがわかります。
競合も含めて広い視野で業界全体を見ることがビジネスエコシステムの共存・共栄に繋がります。

ところで、どのようなビジネスエコシステムが繁栄していると言えるのでしょうか。
簡単に次の章で説明します。


ビジネスエコシステムの繁栄とは?

ハーバード大学のイアンシティ教授らは、ビジネスエコシステムの健全性の指標として、以下の3項目を挙げています。(参照:Strategy as Ecology

  1. 生産性(効率性)
  2. ニッチ企業が投資した資本に対してどれだけ価値のある製品・サービスを生み出せるのか

  3. 堅牢性(安定性)
  4. 経済・法制度の変化や、技術変化、競合からの攻撃などに対しどれだけ耐性があるか

  5. ニッチ企業の創造
  6. ハブ企業のプラットフォームを活用してビジネスエコシステム内でどれだけ新たなニッチ企業が生まれているか

この3項目を満たすものが健全に繁栄しているビジネスエコシステムになります。

特に3に関して新たにニッチ企業が生まれることが、新たな製品やサービスの創出、ひいてはイノベーションにつながると言われています。
1社のみの企業努力だけでは出来ないようなことも、ビジネスエコシステムの仕組みを使えばできることも増えそうですね。

最近では多くのビジネス書を見てもチームビルディングがマネジメントに必要な能力の1つと言われるようになっていますが、まさにビジネスエコシステムは企業・組織同士のチームビルディングそのものと言えるでしょう。

まとめ

IT分野においてビジネスエコシステムは業界全体の拡大のために必要不可欠であると言われており、多くの企業がビジネスエコシステムを活用しています。

今回はビジネスエコシステムの概要について触れましたが、次回は企業の事例に触れながら各企業にどのような戦略があるのか見ていきます。

わたしたち未来技術推進協会もビジネスエコシステムの構築に力を入れており、様々な企業・大学・自治体等とパートナーシップを組み、持続可能な社会実現に向けてイノベーションを起こすため邁進してまいります。

以上、鈴木彩でした。

参考

参考書籍