2025年はお財布いらず?経産省のキャッシュレス・ビジョンとは

こんにちは、平野羽美です。
突然ですが皆さん、お店で商品を買うときにはどんな方法で支払いをするでしょうか?

一昔前はお財布から小銭やお札を取り出してお支払い、という方法が一般的でしたが、今ではクレジットカードや電子マネーなど様々な支払い方があります。最近では、スマートフォンで支払いができるPaypayなどもニュースになっていたかと思います。

今回の記事では、そんな「お金の支払い方」に関して、2020年のオリンピックに向けて経済産業省も推進しているキャッシュレス社会についてご紹介していきます。


キャッシュレスとは、その名の通り「現金(キャッシュ)」以外の方法で支払いや決済を行うことをいいます。

キャッシュレスを実現する仕組みには、クレジットカードや電子マネーなど既に多くの方が日常的に活用しているものから、QRコードを利用したスマートフォン決済など最近普及してきているものまで多数あります。

代表的な例とそれぞれの特徴をまとめてみました。

クレジットカード

日本では最も一般的なキャッシュレスを実現する手段です。
使える店舗数も多く、ポイント還元や特典など利用者への付加価値が用意されているものも多くあります。

電子マネー

非接触型のICカードなどで支払いを行える手段です。
元々は交通系電子マネーなど特定の範囲内での利用が前提のサービスでしたが、最近はコンビニや飲食店など様々な業種・業態にわたって利用できる共通サービスとなりつつあります。

前払いでチャージしておく方式と自動引き落とし方式の両方が選べる点も特徴です。

スマートフォン決済

スマートフォンを活用して支払いや決済を行う手段です。
ネットショッピングをはじめ、QRコードを利用した店頭での支払いにも普及してきています。

冒頭でご紹介したPaypayもスマートフォン上にQRコードを表示し支払いを行う仕組みをとっています。

仮想通貨

BitcoinやEthereumなどのプログラム上で電子的に証明されたコイン(トークン)を活用して決済を行う手段です。

広く一般的に活用される決済手段にはまだ至っていませんが、ビックカメラがBitcoin決済をはじめるなど、キャッシュレスの仕組みの一端として徐々に浸透しつつあります。

こういったキャッシュレスの仕組みを普段から活用している方もそうでない方も聞いたことぐらいはある例ばかりではないでしょうか?

ですが、個人的には、日本ではまだまだ現金で決済する機会の方が多いように思います。
2020年の東京オリンピックに向けて多くの方が海外からいらっしゃることが想定される中で、小銭やお札などの現金でしか支払いができないというのは海外の方からすると悩みの種になってしまうかもしれません。

そんな課題を解決するため、経済産業省も現金を使わない「キャッシュレス社会」の実現に向けた取り組みを発表しています。

経済産業省発表「キャッシュレス・ビジョン」

経済産業省は2018年4月にキャッシュレス化推進を目的として「キャッシュレス・ビジョン」を公開しました。

このレポートは、2017年5月に公開された「Fintechビジョン」が前身となっており、今回の内容はタイトルからもよりキャッシュレスにフォーカスした内容であることがわかります。

キャッシュレス・ビジョンの冒頭では、キャッシュレスの定義についても述べられており、
「物理的な現金(紙幣・貨幣)を使用しなくても活動できる状態」をキャッシュレスと呼ぶとされています。

先にご紹介したクレジットカードや電子マネーは、まさにこのキャッシュレスを実現できる手段と言えそうですね。

世界のキャッシュレス動向

キャッシュレス・ビジョンの中では、世界各国におけるキャッシュレス決済の普及率についても言及されています。

レポートによると、2015年時点で89.1%と高い普及率を記録している韓国をはじめ、キャッシュレス化が進んでいる国では普及率が軒並み40%〜60%台となっています。

これに対して、日本の普及率は18.4%にとどまっています。

図表:各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)

出典:キャッシュレス・ビジョン(経済産業省)より引用

日本のキャッシュレス動向

先のグラフからも、日本のキャッシュレス化は世界各国と比較しても遅れをとっていることがわかります。これには日本においてキャッシュレス支払いが普及しにくい要因がいくつかあることが言及されています。

キャッシュレス・ビジョンから引用すると、

(1) 盗難の少なさや、現金を落としても返ってくると言われる「治安の良さ」
(2) きれいな紙幣と偽札の流通が少なく、「現金に対する高い信頼」
(3) 店舗等の「POS(レジ)の処理が高速かつ正確」であり、
店頭での現金取扱いの煩雑さが少ない
(4) ATMの利便性が高く現金の入手が容易

とあり、これまで日本が培ってきた治安の良さや信頼の高さ、現金を扱う上での利便性の高さが裏目に出ているように感じます。

確かに私も、小銭が多くなるとお財布が重たくなるので困る、ということはありますが、現金が使えなくて困るという経験はあまりなく、数万円持っていればどこにでもいけるのではという気さえしてしまいます。
…国内限定ですが。

その他にも、実店舗におけるキャッシュレス化実現のために必要な端末の導入コストやサービス事業者のコスト負担、消費者の心理的なハードルなども相まってキャッシュレス化が妨げられているとされています。

キャッシュレス社会実現に向けた対応策

これらの背景を受けて、日本でもキャッシュレス化推進に向けたいくつかの施策が進められています。

例えば、実店舗におけるキャッシュレス支払導入コストの低減や取引手数料の軽減など、店舗におけるキャッシュレス決済普及への取り組みや、消費者へのインセンティブなどキャッシュレス決済を使いたくなる取り組みなども考えられています。

先にご紹介した経産省発表の「キャッシュレス・ビジョン」でも、2025年までにキャッシュレス比率を40%に引き上げることを目標としています。

また、データ分析やAIなどの技術を組み合わせたFinTechに関する取り組みも進められています。FinTech企業や様々な業種の企業が連携することで、新しいサービスの発展にもつながるのではないでしょうか。


まとめ

いかがでしたか?
今回は、経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」を中心にキャッシュレス社会実現につながる仕組みや、世界と日本のキャッシュレスの普及率について紹介してきました。

日本でもキャッシュレス化の取り組みが今後も加速してくるかと思います。
未来技術推進協会でも、キャッシュレス化が進む上でポイントとなるAIやブロックチェーンなどのFinTech関連技術について、講座やイベントなどを実施しています。

日本のキャッシュレス化に向けて少しでも貢献できることがあればと考えていますので、
これらの技術に興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度イベントに顔を出していただければと思います。

参考文献