3Dプリンタの次なる印刷技術「4Dプリンタ」とは?

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3Dプリンタの次なる印刷技術「4Dプリンタ」とは?

みなさんこんにちは。
中村忍です。

今週の記事では、シンギュラリティに関係する技術である「4Dプリンタ」の概要についてお話します。

前置きになりますが、そもそもシンギュラリティ(技術的特異点)とは、「人工知能が発達して人間の知性を超えることによって人間の生活に大きな変化が起こるという概念」のことです。
シンギュラリティは2045年に来ると言われていますが、そこに向けて指数関数的に成長する技術があり、それらの技術はエクスポネンシャルテクノロジーと呼ばれています。
シンギュラリティの概念の起案者であり、著名な脳科学者で発明家のレイ・カーツワイル氏らにより設立されたシンギュラリティ大学はエクスポネンシャルテクノロジーを28種類定義しており、4Dプリンタはそのうちの1種となります。
それでは、そんな最新技術である4Dプリンタについて紹介していきます。


4Dプリンタとは何か?

3Dプリンタと聞いてご存知の方は多いかと思いますが、3Dプリンタは、立体物を作成できる装置のことです。形状図面と専用の樹脂などを装置に入れることによって立体物が生成されます。
一方、4Dプリンタは、「時間経過に伴って形状が変化する立体物を作成できる装置」と定義されています。3Dプリンタで作成した印刷物が、外部からの何かしらの刺激に反応し、時間経過と共に最終的な形へと変化します。
※ここでいう「4D」とは、「3D(立体)」に「時間」の要素を加えた概念のことを指します。

4Dプリンタは、2013年頃からマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究室などで開発が進められてきています。
MITの建築学教授であるスカイラー・ティビッツ氏が、2013年2月にカリフォルニア州ロングビーチで開かれた「TEDカンファレンス」に登場し、4Dプリンタ技術に関するデモを行ったことが認知されるきっかけとなりました。
ティビッツ氏はTEDで、「ひも」のような物体が水の中で形状変化していく様をデモンストレートしました。
ティビッツ氏の4Dプリンタの技術には、2種類の樹脂材料が用いられています。一つは水中で水分を吸収して膨らんで体積が変化する樹脂、もう一つは水分を吸収せず体積が変化しない樹脂で、両方を組み合わせることによって水中での形状変化を実現しているとのことでです。
※ティビッツ氏のTEDカンファレンスの動画は、下記参考からたどれますので、興味がある方はご覧ください。

MITの他にも、4Dプリンタの研究を行っているチームがあります。
例えば、デルフト工科大学のアミール・ザドプル教授率いる研究チームでは、熱を使った4Dプリンタの研究を行っています。
この研究は、3Dプリンタで印刷されたフラットな素材をお湯に浸すことで、最終的にチューリップ状に形状変化するというものです。
動画:Delft University of Technology (TU Delft) – Self-folding tulip

また、カーネギーメロン大学のモーフィング・マター研究室でも、同じように熱に反応して形状組成をさせる研究を行っています。
モーフィング・マター研究室の技術は、FDM(熱溶解)方式の3Dプリンタで印刷物を冷却する段階で生じる「反り」をうまく活用したものだそうです(反りの発生は通常は欠陥として見なされるそうですが、逆に欠陥を利用した形となります)。
これによって、ウサギやバラ、船など、様々な形状に変形させることができます。
動画:Carnegie Mellon University:4D-printing method could allow flat-pack furniture to be assembled with heat alone

4Dプリンティング技術は他にも様々な研究機関で研究されていますが、デルフト工科大学とカーネギーメロン大学の4Dプリンタは実用的な点が特徴で、通常数十万円で購入可能なデスクトップタイプの3Dプリンタと市販のフィラメントで作成可能です。

4Dプリンタの実用性

4Dプリンタの研究について紹介してきましたが、それでは4Dプリンタは私たちの生活にどのように役に立つのでしょうか?
まずは、医療用インプラントです。腫瘍(しゅよう)ができた骨の代わりに、ナノパターンを埋め込ませた多孔性のある※補綴(ほてつ)具を用いることで、失った骨の再成長が期待できるとのことです。
※補綴…身体の欠損した部位の形態と機能を人工物で補うこと。

また、自動組立式家具の実用にも使えます。組み立て式家具の組み立ては大変な作業だと思いますが、4Dプリンタを使えば何もしなくても自動で組みあがるため、実用化が大いに期待されています。
他にも、ボートや人工衛星、緊急時のシェルターなどにも実用できます。それらをフラットな状態で印刷するだけで、輸送、製造、保管までできることは、さまざまなコストを省くことにも繋がります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
4Dという言葉自体、最初はイメージが沸かないかと思いますが、4Dプリンタが登場することによって、より身近に感じられてくるかと思います。
ティビッツ氏いわく、4Dプリンタの重要なキーとなるのが、「プログラマブルな素材」だそうです。時間の経過や環境との相互作用によって形状が変化する、すなわち、性質が制御されている素材のことをプログラマブルな素材と呼んでいるようです。
ティビッツ氏によれば、4Dプリンタは、応用事例よりも、「生き物のように動く素材で世界中が満ち溢れる」というきっかけを作っている点が革新的だそうです。
今回は、4Dプリンタに関しての導入となりましたが、今後も4Dプリンタの動向を追いつつ、詳細や最新情報を紹介していきたいと思います。

●参考