二足歩行ロボットができるまで(2)
こんにちは、遠野駆です。
前回の記事に引き続き、二足歩行ロボットに関連して、ロボット工学に関する基礎知識を紹介していきます。
今回はセンサについて紹介します。
ロボット工学に関する基礎知識(おさらい)
- ロボットマニピュレータ:実際に対象に作用する機械の部分
- アクチュエータ :エネルギーを機械運動へ変換する機械要素
- センサ :物理量を計測するセンサ
前回は、ロボットマニピュレータとアクチュエータについてご紹介しました。
いずれも重要な要素ですが、ロボットマニピュレータやアクチュエータは、搭載されたセンサの計測性能以上の精度を発揮することはできません。
今回は、ロボット工学において最も重要な役割を担うセンサの特徴、種類、出力の違いについて紹介します。
3.センサ
センサとは、物理量を計測する装置で、物理的・科学的現象を電気的変化に変換する役割を果たします。測る手段として、以下のようなものが挙げられます。
> 光、温度、圧力、速度、加速度、角速度
> 電圧、電流、抵抗、pH など
ここでは、それらセンサについて以下の内容を紹介します。
- センサの特性
- センサの種類
- 出力の違い
センサの特性
考慮すべきセンサの特性は、以下のものが挙げられます。
- コスト
- 耐久性
- 質量
- 計測できる物理量の最大値と最小値
コストなどは言わずもがなですが、対象となっている物理量がセンサの計測範囲に入っていないと、計測できません。また、どの程度まで細かく物理量が計測できるかも重要で、計測可能な最小値を「分解能」といいます。
センサの種類
センサについて次のように分類することができます。
- 接触型と非接触型
- パッシブ(受動)とアクティブ(能動)
- センサの形態(デバイス、モジュール、装置)
温度計のように、対象に直接とりつけるものを接触型といい、サーモグラフィーのように直接取り付けることなく測定できるものを非接触型といいます。
人感センサのように、外からの刺激に反応するものをパッシブ型といいます。
一方、超音波距離センサのように、対象に働きかけることで反応を見るセンサをアクティブ型といいます。
このとき、パッシブ型は構造が簡単な分、安く、消費電力は低めですが、対象から「出る特徴」がないと測定できない側面があります。
一方、アクティブ型センサはパッシブ型センサでは困難な測定ができますが、アクティブ同士は干渉することがあるという側面があります。
それでは、具体的にはどういったセンサがあるでしょうか。
大きく3つに分けた場合、以下の表のような特徴があります。
概要 | メリット | デメリット | |
デバイス(部品) | ソーラーパネルのような、素のセンサ | 部品コストが低め | 一般に出力が弱く、適切な処理回路が必要 |
モジュール センサIC |
カメラなど、センサデバイスに回路等加えたもの | 機能を内包している | 部品コストが高め |
装置 | 電流計のように、処理部なども含めて箱に入れたもの | 出力される電流が認識しやすい | 高価であり、動作設定が複雑なものが多い |
出力の違い
計測した物理量に関する出力の違いについて、いくつか分類したものを紹介します。
- 電圧出力型(部品型)
- 電流出力型(部品型)
- 抵抗変化型(部品型)
- 容量変化型(部品型)
- パルス出力型(モジュール型)
検出時に、負荷に対する電圧信号を供給します。トランジスタやICで構成された電子制御機器と接触することを主目的としています。
出力トランジスタが動作して流れる電流の増減をコントロールします。電流を開閉することにより、表示ランプなどエネルギーを消費するもの(負荷)を直接駆動することができます。
角度や移動量に比例して、抵抗値が変化するようにつくられています。
回転角度型のポテンショメータ(直訳すると「分圧系」)や、ひずみに比例して抵抗が増減するひずみゲージなどが該当します。
※参考:センサ応用回路例
湿度センサを例に紹介すると、感湿膜(個体)と空気(気体)の界面の測定したい空間の水の質量が変化することで出力されます。
測定量に対応したパルス列が出力します。事例としてロータリーエンコーダが挙げられます。
参考資料として、オムロン株式会社のページから引用します。
ロータリーエンコーダは、回転の機械的変位量を電気信号に変換し、この信号を処理して位置、速度などを検出するセンサです。
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/34/24/index.html
まとめ
以上、ロボットマニピュレータのセンサについて紹介しました。
次回はロボットマニピュレータを制御する上での様々な概念や運動学と、二足歩行ロボットの実現に伴う課題に着目してお伝えする予定です。
研究者・学生のみなさんが研究の成果を掛け合わせて、最大限その力を発揮できるよう、弊協会が架け橋となり取り組んでいく意義を改めて感じました。
弊協会では、著名な方をお呼びした講演会なども随時開催しており、そちらに講師としてお話しいただいたり、アイデアソンを一緒に作っていきたい!など、協会の理念や活動に少しでもご興味を持っていただけましたら、お気軽にご連絡ください。
以上、遠野駆でした。