地域復興や技術開発にもプロジェクションマッピング

みなさん、こんにちは。鈴木彩です。

今回はプロジェクションマッピング技術の活用事例の紹介です。
以前はプロジェクションマッピングのイベントが公開されるたびに話題になり、ディズニーシーのイベントや、東京駅のイベントでは多くの方が「見てみたい!」と集まりました。

今では大々的に取り上げられることは少なくなってきましたが、それだけ私達の生活に浸透してきている何よりの証拠でしょう。
今はどのようなところでプロジェクションマッピングが活用されているのか、見ていきましょう。


プロジェクションマッピングとは?

まず、プロジェクションマッピングとはどのような技術なのか、簡単に紹介します。
プロジェクションマッピングとは映像をスクリーンのような平面に投影するのではなく、建築物や家具などの凹凸な面に投影する映像手法です。

スクリーンとなる対象が持つデザインや凹凸などを利用し、映像で光や陰影を付けることで、より凹凸が鮮やかになったり、動かないはずのものが本当に動いているかのようなリアルな立体感を表現することができます。
平面なスクリーンに映し出すという制約がなくなるので、屋外などの様々な場所で映像を見ることが可能になりました。

それでは、プロジェクションマッピングを利用した事例を紹介していきます。

はるか 2018 〜戊辰の風 花の雲〜

福島県では東日本大震災の復興機運を絶やさないために2013年からプロジェクションマッピングのイベントを開催し続けています。2018年のイベントでは、戊辰150周年にちなんでその舞台であった会津若松市の鶴ヶ城、白河市の白河小峰城で行い、試練に立ち向かう勇気や不屈の魂を表現しました。

3月23〜24日に会津若松編、4月7日に白河編と上映され、多くの来場者で賑わいました。
地域復興に役立てられる技術は素敵ですね。
残念ながら2018年のイベントは終了していますが、また開催される際は是非観に行きたいものです。

以下の動画は2016年に福島県白河市で開催した、「福島プロジェクションマッピング 2016 はるか ~ 白河 花かがり ~」のものです。世界初の建設現場をスクリーンにした映像で、
復興に向かう姿を、建設中の建物の姿に重ねあわせつつ、美しい花を咲かせる桜を描き出しました。
動画でも映像の美しさや臨場感が伝わってきます。実際にその場で観ると感動すること必至ですね。

  • 【公式】福島プロジェクションマッピング 2016 はるか ~ 白河 花かがり ~

2017年の映像はまだ公式には公開されていませんが、公開されたらぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

技術開発にもプロジェクションマッピング

プロジェクションマッピングというと、エンターテイメントのイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。
実は、半導体の材料開発にも応用されています。

活用されているのは、シリコンカーバイドの開発です。
シリコンカーバイドとはシリコンと炭素で構成される新しい半導体材料です。結合力が強いので熱的、機械的に安定しており、送電の際に起こる電力損失を減らす、つまり省エネにつながる可能性が期待されています。

名古屋大学未来素材・システム研究所の結晶成長工学を研究する宇治原徹教授の研究チームではシリコンカーバイドの高品質化の実験にプロジェクションマッピングを利用しています。
実験は高温の炉内で10数時間かけて行いますが、中の装置の位置や温度が少しでもずれてしまうと品質が悪くなってしまいます。

高温の炉内の様子を知るためにAIで内部の装置の位置から温度分布を予測させて映像化し、その映像をプロジェクションマッピングで炉を覆うカバーに投影しました。
その結果、炉内部の状態を把握できるようになり、実験中の微調整が可能になり、シリコンカーバイドの高品質化の実験に役立てられています。

この事例は物理世界をリアルタイムにデジタル上で再現するデジタルツインの一例とも言えそうです。

プロジェクションマッピングはエンターテイメントで利用されることが多く見られますが、このように技術開発にも役立てられているとは思いませんでした。

未来技術推進協会でも講演会やアイデアソンなどを通して技術をどのように活用したら社会貢献に繋げられるか考えています。
是非、共に考えていけたらと思います。

以上、鈴木彩でした。

参考