人間拡張工学とは

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人間拡張工学とは

人間拡張工学とは

前回の記事では、「超人スポーツ」について紹介しました。
専用のジャンピング装置を身につけて、マサイ族をも越えるジャンプ力を身につけながら相撲のように競う「バブルジャンパー」などのように、障害を補う目的を超えて人間の能力そのものを拡張するという目的の元に生み出された新しい分野が「人間拡張工学」というものです。

実は人間拡張というものは古くから存在しており、例えば私達の日常にありふれるメガネやコンタクトレンズといったものも人間拡張の一種です。
近年では、インターネットという情報技術の発展によって、ハードウェアにインターネットをあわせた人間拡張の技術の発達が目覚しいです。
例として、2015年にアップルから発売された「アップルウォッチ」という、ウェアラブルコンピュータが挙げられます。

また、東京大学の暦本純一教授によれば、近年主流となっているIoT(Internet of
Things、人間とモノがつながる)の次の世界、すなわち「人間と人間、人間と人工知能がネットワーク上でつながる、IoA(Internet
of Ability)」が人間拡張の分野により実現されるそうです。
人間と人間(人工知能)が繋がるということは、ネットワークを介して人やロボットがお互いの「能力」を出し合い、例えば自分の分身に出張を済まさせるといった新しい行動を起こさせるという考えで、今まさに注目されつつあります。

 

●人間拡張工学の例

今、人間拡張工学の分野で研究開発されている事例について紹介します。

・Google グーグルグラス
眼鏡型ウェアラブルデバイスです。メガネに直接情報を表示することができ、ハンズフリーで操作できるなど、ヘッドマウントディスプレイの置き換え的な位置づけにあります。
テスト期間を終えて2017年に新型が20万円という価格で販売がされていて、ITサービスや医療、製造、保険などさまざまな業界に応用されています。
眼球の動きによって集中力を計測することもできるらしく、例えば、医者がグーグルグラスを装着してカルテを記入した結果、ミスが33%減ったという報告もあるそうです。
また、「アフェクティブ・ウェア」という、人間の喜怒哀楽の感情の変化を計るメガネの開発を行っているところもあるそうです。

・光学迷彩

超人スポーツ協会を発足させた稲見昌彦氏が開発した「透明マント」というものがあります。
しかけは、再帰性反射材という交通標識にも使われている素材で、入射した光を拡散させずに真っ直ぐに戻す特徴を持っています。
この素材を用いたマントに対し、背景と同じ映像を投影すると、見ている側に真っ直ぐに戻るため、マントの装着者が背景に溶け込んで見えるという仕組みだそうです。

・仮想力覚提示デバイス「Traxion」

東京大学大学院情報学環教授である暦本純一氏が研究する小型の振動装置で、振動しているだけなのに超絶な力を体験できるといった「触覚」にまつわる人間拡張技術です。これによって、例えば職人や一流アスリートの感覚をトレースできたりするそうです。

●研究者紹介

・稲見昌彦(いなみ・まさひこ)東京大学先端科学技術研究センター教授 超人スポーツ協会
著書:「スーパーヒューマン誕生!人間はSFを超える」 NHK出版
Webページ:
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/research/people/staff-inami_masahiko_ja.html

・暦本純一 東京大学大学院 情報学環 教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所 副所長
Webページ:

暦本 純一