未来の地球を守る!?ブロックチェーンxSDGsの事例紹介

こんにちは。平野羽美です。
前回記事ではブロックチェーンを活用した国連主導の取り組みを紹介してきました。
今回は、ブロックチェーンを活用して地球環境を守るプロジェクトを取り上げていきます。

仮想通貨(暗号通貨)だけでなく、未来の地球のためにも使えるブロックチェーンに可能性を感じずにはいられません!


おさらい その1:SDGsとは?

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。
2015年9月の国連持続可能な開発サミットで採択され、「誰も置き去りにしない」を基本理念に、国際社会が2030年までに達成を目指す17の目標と169のターゲットから構成されています。

SDGsの詳しい紹介はこちらの記事にも書かれています。

おさらい その2:ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンはBitcoinのコア技術として利用されている技術で、これまでは中央集権的に管理されていた取引情報を分散型(非中央集権)で管理できる仕組みです。
そのため、分散型台帳技術と呼ばれることもあります。

最近は仮想通貨としてのbitcoinの方がニュースに出てくることが多くなったため、
bitcoin=ブロックチェーンと勘違いされる方も多いのですが、bitcoinはあくまでも基盤技術であるブロックチェーンを活用したサービスの一つという位置付けになります。

ブロックチェーンの詳細な説明はここでは割愛しますが、以前の記事にも関連情報が出ていますので、こちらもご参照ください。

ブロックチェーンで守る「未来の地球」

さて、いよいよ本題である未来の地球を守るブロックチェーン技術の活用事例をご紹介していきます。
今回は、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」それぞれの達成に貢献する海外のプロジェクトと、日本におけるブロックチェーン技術を活用した取り組みを取り上げます。

目標12「生産・消費」x ブロックチェーン

SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」を達成するためには、食料廃棄や食品ロスの削減が求められています。
中でも食品ロスに関しては「収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させること」と、SDGs達成に向けたターゲットにも明記されています。

このターゲットに対して、米IBMとウォルマートはブロックチェーン技術を活用し、食品が生産者から仲介業者を介して店頭に並ぶまでを追跡する取り組みを進めています。

このシステムのプログラム開発に協力したマクダーモット氏は、食品は全体の約3分の1が廃棄されていると指摘しており、こうした廃棄の多くはサプライチェーンのどこかに食料の不適切な扱い、輸送、保管などがあり、食品がダメになってしまうのが原因だとしています。
ブロックチェーンによる流通管理は、こうした無駄をなくすことにもつながる可能性があります。

この事例は海外の事例ですが、生産・消費に関する問題(特に食料廃棄)は、日本においても課題が多く残っています。
一番は私たち自身が普段の生活から生産・消費について考えることですが、ブロックチェーン技術を活用することで食料廃棄や食品ロスを無くせることは、未来の食文化を守るためにも大切な取り組みではないかと感じます。

目標14「海洋資源」x ブロックチェーン

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に向けた取り組みとして「Blockchain Supply Chain Traceability Project」が進められています。
この取り組みは、太平洋中部と西部で生鮮や冷凍まぐろのサプライチェーンを管理する漁業情報トラッキングシステムの開発を目的としたプロジェクトで、世界自然保護基金(WWF)、ConsenSys社、TraSeable社、Sea Quest Fiji社が共同で進めています。

現状、漁獲されたマグロの情報は電子的には管理されていませんが、ブロックチェーン技術を活用することによるサプライチェーンの効率的な管理が期待されています。
例えば、漁業事業者がICタグをスキャンするだけで簡単に漁獲情報を記録し、消費者は店頭でスマートフォンをかざすだけで、漁獲された場所や時期、船舶名や漁獲方法の情報を得られるような仕組みができるとされています。

サプライチェーンの管理は、ブロックチェーン技術の活用事例としても一般的で実現性があるように感じます。
その一方で、これまで厳密な管理がなされていなかったマグロなどの水産物に対してタグ付けを行うためにかかる稼働やコストについては、現場とどう折り合いをつけて行くかが課題となってくるのではないでしょうか。

日本における環境 x ブロックチェーンの取り組み

ここまでは海外の事例を紹介してきましたが、日本でも環境問題の解決にブロックチェーン技術を活用しようという取り組みが始まっています。
環境省は2018年1月30日より、ブロックチェーン技術を活用した再生可能エネルギーのCO2削減価値創出モデル事業に関する公募を開始しています。

この公募案件では、これまでCO2削減価値が十分に評価又は活用されていなかった再生可能エネルギー発電の自家消費(自家発電した電力をそのまま自宅で使用すること)に着目し、ブロックチェーン技術によるCO2削減価値が適切に評価される社会の実現を目指しています。
具体的な取り組みについてはまだ情報が出ていませんが、今後の発表が期待される内容かと思います。

まとめ

今回は、ブロックチェーン技術を活用して地球の環境を守るプロジェクトをご紹介してきました。
ブロックチェーン技術が広く使われることで、間接的に森や海などの自然資源を守っていくことになるというのは、SDGsで定義された目標を達成し未来の地球を守ることにもつながっていくのではないでしょうか。

今回紹介した事例以外にも、ブロックチェーンを活用してSDGsの目標達成に向けたプロジェクトは数多く存在します。
未来技術推進協会でも、実践的な事例を踏まえた知識・ノウハウの提供や、企業同士、企業と研究者をつなぐことにより、SDGs推進につながる活動を支援しています。

ブロックチェーンもしくはSDGs等の社会課題に興味がございましたら、ぜひ一度、Meetupや講演会にご参加いただければと思います。

参考サイト