AIがSDGsにもたらす役割とは(導入編その2)!?

みなさんこんにちは。
松下忍です。

前回は、世界が総力をあげて取り組んでいる持続可能な開発目標であるSDGs(エス・ディ・ジーズ)について、AI(人工知能)はどのように貢献できるのかを、目標の8まで話しました。
今回は、後半の目標9~17についてお話していきます。


目標9 産業革命とインフラ

AI、IoTセンサー、4Dプリンターなどの登場により、それまでの工業の在り方が抜本的に変わってきています。例えば、4Dプリンタは、3Dプリンタでの生成パーツにAIによる自己変形能力が加わったものですが、今まで人間の手で行っていた工業製品の組み立てをAIによって行うことができますし、他にも宇宙開発の舞台でも活躍していきます。これらの技術革新は世界史上類を見ないものとなっています。
最近、日本でも技術の進歩が激しく、競合他社もどんどん誕生し、1年も経てば世の中が変わるほどになっているように感じますね。

目標10 不平等問題を減らす

事故や生まれつき障害を持つなどで肉体的な問題を抱えたために社会から疎外されるといった問題が起こってきましたが、AIを使った装置を体内的対外的に装着することによって障害となっている知能や五感といったものを補います。例えば、目が見えない子供とコンピュータとを仲介する「対話型セッションを搭載したロボット」は、ロボットが子供の話を理解してコンピュータへの入力を代わりに行います。そのため、目が見えなくてもインターネットにアクセスして膨大な情報を取得することが可能になります。
結果的に、いじめや社会からはみ出されるといった問題が解消されるでしょう。

目標11 まち・社会の維持

すべての装着可能なモノにAIを搭載し、それらでネットワークを形成しIoT化します。こういった事例はすでに起こっており、ハイテクな都市機能を維持するのに役に立っています。
日本でも、長野県塩尻市では、情報コミュニケーションのインフラを整えており、市の職員と手話が必要な人間とをスマート端末でつなぐなどの福祉に役立てたり、塩尻インキュベーションプラザという施設を設置して産学連携の技術者の育成を行い、町の活性化に取り組んだりしています。

目標12 消費・生産に対する責任

AIによって、農産物などの消費・生産量を制御します。例えば、タイでは、「APP FONLUANG」というアプリケーションが開発されています。これは、農場者と政府とをインターネットでつなぎ天候に関する情報を提供します。雨が不足しているならば、cloud-seedingという人工的な雲を作り出すことによって雨を降らせることによって天候を制御します。結果、農業の生産レベルが適切に制御されると同時に余剰生産が抑制され、水などの排出量も減り、環境にとても優しくなります。

目標13 気候問題に対するアプローチ

気候の変化をデータ化しAIによって分析できれば、気候問題や災害を予測可能になります。
日本は台風など災害が多く発生する国であり、近年、統計上類を見ない気候の変化が起こっていますが、AIによって事前に災害が予測できれば、ライフラインの整備なども事前に行うことができるでしょう。

目標14 海中生物問題の解決

海中で暮らす生物の動き(どの季節にどこの海域に移動するか)を、AIによってパターン化できれば、海洋生態系の生命維持にもつながり、また、不法密漁も撃退できます。
これによって、漁業に携わる人達の労働改善にもつながると思います。

目標15 陸上生物の問題解決

海中生物と同様に、陸上の生物に対しても、どのように移住するかなどをAIでパターン化できれば、生物個体の存続問題の解決もでき、不法密漁も撃退できます。
陸上生物は絶滅の危機に瀕しているケースが多くあり、それらは密猟などの影響もあるため、AIによって動物の群れの習性を感知できれば生物の保全にとても役立ちますね。

目標16 平和、正義、強い政府団体

自然災害や人間による破壊が起こった場合、まずは問題に対する情報が必要になってきます。AIを導入し、ビックデータにアクセスさせることにより、即時に問題に対する情報を得ることができるため、差別や紛争の解決を支援することができます。それと共に電子政府への需要が高まります。というのは、電子政府ではサーバーテロの危険性がありますが、AIにより今まで解決が困難だったサイバーテロに対する対策も可能となります。これは、通常、サイバーテロが起きた場合は人間がデータアクセスログをさかのぼってたどっていましたが、人間では解析できる量は限界があるため、AIが解析部分を担当にすることによってより過去まで正確に解析できるというものです。

目標17 目標達成のためのパートナーシップ

SDGsの達成のためには多国・多団体の協力が不可欠になります。協力が得られることにより、AIの発達の恩恵も受けられます。例えば、国連やXPRIZE Foundationのような団体と協力してサミットを行っている団体も存在したりします。
自国だけでなく、世界規模で協力することによってAIが発達します。日本でもAI技術者の育成が不可欠であると思われます。
いかがでしたでしょうか?これらの目標に対して、私たちに何ができるのかを真剣に考えてみる価値は十分にありそうです。
次回の記事では、この中からいくつかの目標をピックアップし、具体的に取り上げていきたいと思います。


参考文献