衝撃!クローン猿の誕生!?
みなさま、こんにちは。鈴木彩です。
最近、2匹のクローン猿が誕生したというとニュースがありましたが、ご存知でしょうか?
中国科学院のチームが1月24日付けの米科学誌セル電子版に発表しました。
1997年イギリスで報告されたクローン羊「ドリー」と同じ手法が使われており、霊長類の猿で初めての例となります。
クローンとは、「ある個体と同じ遺伝子をもつもう一つの個体」のことです。
「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」や「アイランド」という映画などでクローンが題材として取り上げられていたりするので、なんとなくイメージがつく方もいるのではないでしょうか?
クローン研究はもともと畜産分野において生産性の向上から発展してきた技術です。
クローン個体の産生方法は大きく分けて2つあり、受精卵から作り出す方法(受精卵クローン)と体細胞から作り出す方法(体細胞クローン)があります。詳しい手法はここでは割愛させていただきます。
詳しくはこちらに記載があるので、ご参照ください。
クローンって何?
簡単に言うと、受精卵クローンは受精後分裂途中の細胞を使用する方法で同じ遺伝子の個体が複数誕生します。少々語弊はあるかもしれませんが、ざっくりいうと双子、三つ子を人工的に作り出すイメージです。
一方、体細胞クローンは成体の皮膚や筋肉などの体の細胞を使用する方法で、成体と同じ個体が誕生します。ドッペルゲンガーをイメージするとわかりやすいかもしれません。
今回ニュースで報道されたクローンの猿は後者の体細胞を使用して生み出されたクローンです。
猿は体の構造や機能が人に近く、SARSや肝炎などの感染の原因解明、インフルエンザなどのワクチン開発に霊長類は欠かすことができません。また、脳の機能も比較的人に近いので神経疾患や精神病などの原因解明、予防や治療法の研究にも重要です。
遺伝子操作の技術を組み合わせれば人の病気を猿で再現することができるため、中国科学院のチームは、猿のクローンは病気の研究や治療薬の開発など、医療の研究に役立つと主張していますが、クローンを作る正当性はないと述べている研究者も多くいます。
霊長類のクローンが誕生したとなると、人のクローンが誕生する日も近い?と思う方もいるかもしれません。映画でも人間のクローンが出て来る作品は多くあります。しかし、クローンに関わる科学面、安全面等の十分な知見も蓄積されていないということから現実的にはまだまだ難しいとされています。
また、仮に安全が確立されたとしてもクローン技術で生まれた人とそうではない人との間で差別が起こってしまったり、亡くなった家族や恋人をクローンで作り出そうとしたりする人が現れるかもしれません。そのためにも倫理、人権問題についても考えていく必要があります。
様々な課題はありますが、クローン技術は肉質の良い牛や豚の生産、医薬品を乳の中に分泌する羊の生産、医薬品の開発、絶滅危惧種の保護や絶滅動物の再生など多くの可能性を秘めています。
いかがでしたでしょうか。
クローン技術は未来への可能性を感じつつも、倫理や法律、生命のあり方について考えさせをられる技術と言えるでしょう。
そう考えながらクローンを題材にした映画を見るとまた違った観点で見えてくるものがあるかもしれませんね。