企業に向けたSDGsの指針!SDG Compassとは

こんにちは。TabiOです。

今回はSDGsの企業の行動指針をまとめた「SDG Compass」について紹介します。
未来技術推進協会で活動をしていると、「SDGsが重要なのはわかったけど、じゃあうちの会社はどうしたら良いのか?」「気持ち的にはやりたいんだけど、うちにはそんな余裕はないな・・・」という声をよく耳にします。
なので、全ての企業に当てはまるわけではないですが、企業のSDGs活動推進の指針の一つとしてSDG Compassは役に立つと思いましたので今回の記事で紹介します。
以前の記事(世界中が取り組む持続可能な開発目標(SDGs)とは!?)でも少し取り上げていますが、今回はもう少し具体的な内容をまとめましたので紹介します。


SDG Compassとは?

SDG Compassは2016年3月に下記3団体が作成し、日本語に翻訳されたレポートです。
・GRI(Global Reporting Initiative)
・UNGC(The United Nations Global Compact:国連グローバル・コンパクト)
・WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)

SDGsは政府間で可決された内容であるとはいえ、世界規模で対応するとなると各国の企業も例外ではなく、企業はSDGsを達成する上で重要なパートナーとして位置付けられています。

SDG Compassでは企業の行動指針を5つのステップで活動することを勧めているため、そのステップについて紹介します。

●ステップ1 SDGsを理解する
SDGsの各目標やターゲットについて理解し、世界的な動向を知ることがまずは大切だと言っています。
SDGsという言葉自体も聞いた事がない人まだまだたくさんいると思いますし、言葉は知っていても具体的な内容は説明できないという人も多いと思います。
まずは企業でも知る機会を提供することが大事だと思います。

SDGsを知る事でのメリットについて、いくつかあるうちの代表的な2つを紹介します。
・将来のビジネスチャンスの見極めがしやすくなる
・SDGsの達成に向けた課題の解決策を提供する企業にとって、国際的な公共・民間投資が追い風となり、市場の拡大や資本へのアクセスが容易になる可能性がある

SDGsは世界的に取り組むアクションになるので、国や地域がどういう課題を抱えているのか等の情報にもアクセスしやすくなるため、事業の方向性を打ち出す材料にもなりますし、国や投資家の支援も受けやすくなる可能性もあります。まずは情報を取るところからやって見ることをオススメします。

●ステップ2 優先課題を決定する
SDGsについて理解が深まってきたら、次はその中でも優先課題を決めることが大事になってきます。
ここが活動をする上でもっとも難しいところであり重要な部分だと思います。

・バリューチェーンの把握
最初にやるべきこととして、バリューチェーン全般を通じて企業の事業活動がSDGsに及ぼしている又は、及ぼす可能性のある正と負の影響を把握することをSDG Compassでは勧めています。
ここでいうバリューチェーンとは、原材料や部品パーツの調達活動から製造や加工、出荷配送、マーケティング、顧客(消費者)への販売、アフターサービス(カスタマーサポート)、廃棄等までの一連の事業活動を、個々の工程の集合体ではなく価値(Value)の連鎖(Chain)として捉える考え方です。
下図のように自社のバリューチェーンをマッピングすることで、影響領域を特定することができます。

商品を販売して廃棄するまでの一連の流れを書き出し、その過程でSDGsに貢献しそうなこと、逆に阻害してしまいそうなことを洗い出してみると次のアクションが見えやすくなると思います。

・指標を選択し、データを収集する
バリューチェーンを明確にすることで、企業内でどこの箇所にSDGsの取り組みがあるのかを把握できたと思います。
その次のアクションとして、どの目標に対してアクションをしていこうかという意思決定と、決めた目標に対して、どういう指標を採用し、どうデータを収集するかが重要になります。
指標については企業の業態によって変わってくるので割愛しますが、既存の仕組みで測れるのであれば、それを採用するのが過去からのデータも取得できるため有効かと思います。

ここまで決まると、取り組むべき目標と指標が明確になってきたと思いますので、次のステップに進みます。

●ステップ3 目標を設定する
ステップ2で取り組む目標と指標が明確になったので、次は指標の目標を設定します。
目標設定については企業の得意とする分野だと思いますが、目標を設定し、それに対して具体的なアクションを考えていきます。

・目標のタイプ
「絶対目標」と「相対目標」の2種類あります。
絶対目標は、社会に対して及ぼすと期待される影響を表すのに最適ですが、企業の成長と必ずしも結びつかないことがあります。相対目標は達成度の測定における正確性に優れているが、目標が与える影響については把握しきれないことがあります。どちらの目標でも、完全な全体像はつかめないため、各企業が目指す影響をきちんと説明することをSDG Compassでは推奨しています。

・目標設定アプローチ
アプローチにも「インサイドアプローチ」と「アウトサイドアプローチ」の2種類があります。
インサイドアプローチは、内部(企業)を中心に考えアプローチを考えていきます。
自社ではどういうアクションができるかを考えアプローチしていきます。
もう一方はアウトサイドアプローチで、世界的な視点から、今この分野では何が必要かについて外部から検討し、目標を決めアプローチしていくことです。

●ステップ4 経営へ統合する
ステップ3で目標も定めたところで、さぁアクションしよう!
となりがちなのですが、SDG Compassではもう一段階取り組みを深めるステップがあります。
経営へ統合するというステップですが、ここでは、持続可能性を企業の中核事業に統合し、あらゆる部門に持続可能性を組み込むことの重要性を伝えています。
経営に統合することにより、事業全体として持続可能性を持つ必要が出てきます。最初は一部の組織だけが対象になっていた目標や指標も全ての部門で指標や目標を設定し、事業としての拡大を目指しながら、持続可能性も担保するという点が、過去の経済成長とは異なっている部分ではないでしょうか。

・パートナーシップに取り組む
SDG Compassで紹介されている調査結果では、企業の役員・管理職等のうち90%が持続可能性の課題は企業単独では効果的に対処することができないと回答したそうです。
たしかに1つの企業でSDGsの目標をクリアするのは難しいと思いますが、多くの団体や企業とパートナーシップを組むことで、大きな課題の解決だけでなく、事業の拡大にも貢献する可能性があります。

●ステップ5 報告とコミュニケーションを行う
目標や経営方針が決定したら、外部に報告し、関係者とコミュニケーションを行なっていくことが大事になってきます。
同じようにSDGsの活動を行っている企業はたくさんありますし、国や自治体等様々な団体とパートナーシップを組む際も、情報を開示していることで共通の会話ができるようになることがメリットの一つです。
また持続可能性に関する報告は少し前までは、信頼の醸成と社会的評価の向上のための手段と位置づけられていました。
最近では、持続可能な意思決定を促すだけでなく、関係者と協働し、新たな投資を呼び 込むための戦略的なツールに変容しています。

以上の5つのステップを繰り返し行うことで、日々の企業活動を見直すことができ、社会への貢献度合いも測れる良い機会だと思います。
まずは自社がどの状態にあるのか見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

SDG Compassについて理解できたでしょうか?
すぐに取り組める立場にある方も、そうでない方も少しずつステップを進めていくことで、SDGs達成に向けて貢献できると思います。
未来技術推進協会では、SDGsの説明会やSDGsゲームの開発、アイデアソンを開催し、より具体的なアイデアを創出する等SDGs達成に向けた活動を実施し、企業におけるSDGs推進への貢献を目指しています。
まだあまりSDGsについて知らない方はイベントに参加し、まず理解を深めるというところから始めてみてはいかがでしょうか。

以上、TabiOでした。


参考サイト