医療にも、頼れる相棒Watson君
こんにちは、鈴木彩です。
突然ですが、厚生労働省が発表している以下の日本の3大死因をご存知ですか?
1位 悪性新生物
2位 心疾患
3位 肺炎
生命保険のCMで流れていることもあるので知ってる方も多いがもしれませんね。
1位は悪性新生物という名前より、「がん」と言ったほうがわかる方もいるかも知れません。
今回は、がんの診断と治療にもAIが活用されている事例の紹介です。
がんとその治療法
がんは私達の持つ正常な細胞が何らかの原因で遺伝子に傷が付き、無限に増殖し、体の他の部位へ転移して体に悪影響を及ぼしてしまう病気です。
がんの主な治療法は放射線治療、外科治療、薬物治療で、がん患者の年齢や体質、病気の状態などを考慮して判断を行います。
特に薬物治療では、がん細胞特有の遺伝子も特定されてきているので、その遺伝子を標的とした薬剤(分子標的薬)も開発されています。
がん細胞の中は数百~数千の遺伝子変異が発生しており、その変異の組み合わせによってがんの性質も変わっていきます。
がんの性質を知るためにゲノム解析を行い、どの変異ががん患者の病態の原因になり、どのような薬や治療が最適なのかこれまでに発表されている論文や研究結果、過去の治療記録などを見て判断します。
IBM Watsonの活用
最適ながんの治療を行うまでには多くのデータを必要とするので、2015年7月に東大医科学研究所はAI「IBM Watson」を医療分野に応用させた「Watson for genomics」を導入し、
ゲノム解析を行っているスーパーコンピューターと連携させて研究を行っています。
Watsonに今まで発表されている2千万件を超える論文や研究結果、治療事例を学習させて、スーパーコンピューターを用いて得られた患者の変異した遺伝子のデータからWatsonが標的とする遺伝子と適切な薬剤を提示してくれるようになります。
今までは最適な治療法がわかるまでに1年ほどかかることもありましたが、AIを利用することで治療法を決定するまでに要した時間はわずか10分との事例もあります。
適切で効果的な治療法が見つかるまでの期間が短くなればなるほど、がん患者の身体的、精神的苦痛も軽減することができます。
今後、AIは医療の分野において、私達の医療における症状特定や治療方法の提案のスピード・質を劇的に向上させるための大きな力となるかもしれません。
ワトソンというと私はシャーロック・ホームズの相棒のワトソンを思い浮かべます。
彼は天才で個性の強いシャーロック・ホームズに比べると常識人というイメージがありますが、ホームズに大きな信頼を寄せられている人物です。
このWatosonも私達の頼れる相棒になる日がやってきているようです。