日本のものづくりに貢献する若きベンチャー社長に聞いた!他者との比較から抜け出し、自分の評価軸で生きる術
ファクトリエは日本の工場直結のファッションブランドです。
日本の職人が誇る情熱や技術がつまった商品を作る工場とお客様をつなぐことで日本の豊かな社会実現に貢献するとともに、日本から世界一流ブランドを作ることを目指しています。
この度、ファクトリエ代表・ライフスタイルアクセント株式会社代表取締役の山田敏夫氏にインタビューの機会をいただくことができました。
山田氏は2018年11月12日に『ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命』という書籍も出版されており、このインタビューでは出版に込めた想いも教えていただきました。
未来技術推進協会が描く企業や大学、研究室などの枠にとらわれるのではなく、それぞれが手を組むことで日本からイノベーションを起こすビジョンとのつながりを感じながら、お話を伺いました。
本の出版を決めたきっかけ
2018年11月12日に本『ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命』を出版されましたが、出版にかける想いをお聞かせください。
僕は今回のことで伝えたいことが2つあります。
1つ目は「作り手の思いで買う」ということ。
洋服を買う判断基準はファッション性か経済性で買うことが多いと思います。
ファッション性というと、デザインやトレンド、ロゴなどで買うかどうか判断することです。
対して、経済性はこの服の値段はいくらかなど、値段によって買うかどうか判断することです。
僕はそこに3つ目の軸として「作り手の想いで買う」という判断基準を作りたい。
そのためにも日本のものづくりはどうなっているかということや、「作り手の想いで買う」ということはどういうことなのか啓蒙して行く必要があると思います。
2つ目は落ちこぼれのチャレンジというテーマで本を出しました。
本にも書いてあるんですが、小学校の頃は塾に落ちたし、スポーツも苦手でした。だから「僕でもできることは君にもできるよ」というメッセージになれば良いなと思って本に想いを込めました。
「作り手の想いで買う」というメッセージのきっかけになったことは、フランスへの留学が大きいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
実家と、フランス留学が大きなきっかけですね。
実家は洋品店を営んでいるのですが、「あなたから買いたい」というのは無敵だと気づいたんです。
原価率が低く、なかなか洋品店などで服が売れなくなってきた世の中で、どれだけきちんと接客というものでお客様が買っているのか。「あなたから買いたい」は最強だなと思いました。
フランス留学ではものづくりからブランドが生まれるという体験をしました。
この2つから「作り手の想いで買う」というメッセージが生まれました。
主役は工場。大切にされていることは?
より多くの人と手を組むことを大切にされていると思うのですが、どういう思いで工場と手を組んでいるのですか?
僕はものづくりからしかブランドは生まれないと思っているので、主役は工場です。手を組むどころか、僕らは黒子ですから。
作り手の想いで買ってもらうということは、工場の名前で買ってもらうということですよね。工場の名前で買われるようになれば、卒業する工場も増えてくると思います。
工場がファクトリエから旅立っていくことは歓迎というか、良いことだと思っているのですね。
もちろん、歓迎です。
僕はファクトリエをメジャーにしたいのではなくて、「作り手の想いで買う」ということをメジャーにしたい。
そこに見返りを求めようとは思っていません。これが大事だと思っているんです。
人は見返りを求めるからうまくいかなくなると思うんですよ。ギブすることが幸せになれば自分の幸せをコントロールできるようになりますよね。
だから僕は人に対してのコミュニケーションはギブでしかないと思っています。他者との比較に幸せはありません。
比較したところで、その人の人生を歩むわけでもないので。
戦うべきは理想の自分で、今の自分との差分を前進して埋めるほうが重要ですね。自分の人生なので、そのほうが幸せだと思います。
僕はそういうふうに考えているので、工場が協力してくれなかったとしても、僕は気にしていないし、むしろ「今度また機会があればよろしく願いします」と言うし、ファクトリエで売っている商品が売れたとしても「ありがとうございます」というのは工場ではなく僕の方だと思っています。
自分の信念をしっかりと持たれている事がよく伝わります。
逆に言うと、僕は競争の中では生きていけなかった人なので、他者比較をやめたということもありますね。ある意味、生存本能だったのかもしれません。
多くの人は他者比較で苦しみますよね。人間の不幸の始まりは比較から始まることが多いように感じます。
自分の評価軸で生きると変えたきっかけは?
他者比較から抜け出して、自分の評価軸で生きると大きく変えたきっかけはありますか?
それはもう、全部がなかったからじゃないですか。
人は何かしらの逃げ場を求めますよね。それが僕は、自分の生きる道、自分の人生の評価者は自分しかないというところでした。
だから、例えば年収300万だとして、あの人可哀想なのか、僕最高なのか事実は事実だけど解釈は自由じゃないですか。
僕は年収300万円が少ないって生きてきている人よりも、年収300万だけどすごく人生が楽しいって生きている人のほうが幸せだと思います。
自分が幸せか不幸か選べるというわけですよ。
幸せを選べるなら、幸せを選びたいですよね。
選べますよ。
組織を変えるには自分の何かが変われば良いんです。
それもちょっとしたことで良い。
僕の2019年の目標が「行動が心をリードする」なんです。
例えば、朝5時に起きたり、朝6時に起きたりして1日を過ごすっていうのなんか良いじゃないですか。
自分が行動することで心をポジティブな循環に持っていくことを目標にしています。
その目標にした理由を教えていただけますか?
1,2年を振り返り、成長していなかった自分に気づき、改めようと決めたことですね。
時間を100%守ろうと決めたんです。
ミーティングも全部時間ピッタリに来るようにしました。
そうすると社員も全員時間どおりに来るようになったり、時間内にミーティングを終わらせるために前日までにアジェンダを作ったりするようになったりしました。
その結果、行動することに心の余裕ができるようになったんです。
心を変えるということに対して、自分のちょっとした行動がすごく大事ですね。
それも半歩でいいと思うんですよ。
僕は半歩でもいいから1年後成長していたいんです。
もちろん、色んな事を失敗することで得ることもたくさんあります。PDCAの回数が人を成長させるので、それを月単位でやれば12回チャンスがあるし、週単位でやれば52回チャンスがあるでしょう。それを1日ずつやれば約360回自分の成長のチャンスがあるんですよ。
というのを考えると、この1年成長していないことに気づいたのと同時に、半歩でもいいから成長したいと思うようになりました。
これから社会を担う方へメッセージを下さい。
未来技術推進協会では20-30代の若手技術者が日本にイノベーションを起こそうと活動しています。メッセージを頂けたら幸いです。
みなさんが作り上げるものが日本や世界を盛り上げると期待しています。
僕は、伝統が絶対に良いとは思っていません。今に合わせて生きていくことが大切だと思っています。
他国との比較がどうとか、目の前のどこがどうだとか関係ありません。自分たちのあるべき姿を見ることのほうが個人も会社も重要だと思っています。
会社は個人の集まりなので、個人が変われば会社も変わります。
それが結果としてイノベーションになるかもしれない。
自分たちと似たような活動をしている人もいますけど、そういう人と比べるのではないのですね。
その人すら同士ですよ。
インタビューを終えて
インタビューの前後で私達に気さくに接してくださったり、インタビュー中も笑いを交えながら終始お答えいただいたのが印象的でした。
自分の幸せは自分で選べること、自分の行動1つで周囲を変えて行けることを教えていただき、根底にその信念があるからこそ山田氏のビジョンについて行こうとする人々が多いのだと学ばせていただきました。
私達未来技術推進協会も技術革新やコミュニティ形成等の観点で社会により良い影響を与えていきたいと考えています。
ぜひ、日本の職人の高い技術と想いが込められた商品を見てみてください!
山田敏夫氏のこれまでの歩みやメッセージが込められた一冊。
ぜひご覧ください!