国内初、独自の仮想通貨を地方財源に発行!岡山県西粟倉村の取組み

こんにちは、Vona(ボーナ)です。
突然ですが、みなさんは「仮想通貨」と聞いてどういう印象を持っていますか?
仮想通貨と一口に言ってもNEM(ネム)やBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)など様々なものが存在します。
詳しく知りたい方は、過去に仮想通貨について纏めた記事も掲載していますので、詳細は下記の参考を参照いただければと思います。
話を戻して、私自身は仮想通貨と言えば「投資」のイメージが強いです。
今回はそんな話題の仮想通貨を、「地方創生」の財源に活用し、SDGs(持続可能な開発目標)の目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献する岡山県西粟倉村の取組み事例を紹介します。


岡山県西粟倉村が抱える課題

西粟倉村は岡山県北東部に位置し、実に面積の約95%を森林が占め、その森林を活用した林業を中心として経済が成り立っています。一方で、1990年に人口1939人をピークに人口が減り続け、2018年8月時点で1471人まで減少しています。民間研究機関”日本創生会議“の推計結果によると、2040年までに20〜39歳の若年女性が50%以下となり人口減少に歯止めがかからず消滅の危機にある都市として西粟倉村をはじめとする14市町村が「消滅可能性都市」として指定されています。
周囲の市町村のほとんどは合併を選択している中で、西粟倉村は都市集中ではなく地方分権社会を目指し「自立した自治体」の実現のため様々な独自の取組みを推進してきました。次節にその具体的な取組みについて紹介します。

「地域」を創る仮想通貨の発行に向けて

前述の人口減少を受けて、まずは主要産業である林業を伐採〜加工、流通まで担う6次産業化を進める「百年の森林(もり)構想」の推進や、助成金・スクール開校などの起業を支援する移住起業支援事業など独自の地域活性化施策に取組んできました。
こうした取組みを持続し、かつ先行投資を推し進めていくためには財源の確保が大きな課題となります。そこで自主財源の調達のため、自治体として国内初となる仮想通貨を活用することを今年6月に発表しました。具体的にどのように運用するか以下に概要を説明します。

西粟倉村独自の仮想通貨Nishi Awakura Coin(NAC)の運用について

西粟倉村はICO(Initial Coin Offering※1)を企画し、独自の仮想通貨を発行し資金調達を推進する計画を発表しています。どのようにしてICOを行うのかというと、民間事業体からなる「一般社団法人 西粟倉村トークンエコノミー協会」から、ICOトークンである「Nishi Awakura Coin(NAC=ナック)」を発行します。投資家は仮想通貨交換事業者を通じて主要仮想通貨のEthereum(ETH)でNACを購入します。この方法で集めたETHを現金に交換し、村にあるローカルベンチャー企業や、「新規で事業を起こしたい」と村へ来る起業の新事業の資金として投入するとういう流れになります。
また資金の投入先は、NACを所持している人に投票権が与えられ、投票で人気を集めた事業に優先的に資金が投入されていきます。
※1 ICOは独自のトークンを発行し、発行したトークンを投資または仮想通貨ユーザーに購入してもらい資金を調達するもの

図:西粟倉村ICOのイメージ

仮想通貨の発行については、いつから実施するなど具体的な時期については法整備など課題があり未定であります。しかし地方分権社会の実現は、地方の人口減少が加速している日本において、対応すべき急務の課題となっています。自立した自治体を目指して独自の活動を推進している岡山県西粟倉村の今後の動向については、より注目されていくでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は近年注目されている「仮想通貨」を活用した持続可能な地方創生のための自治体の取組みを紹介しました。この取組みが成功事例の先駆けとなり、地方の過疎化問題解決への糸口となる可能性に期待しつつ、今後も注目していきたいと思います。
私たち未来技術推進協会もSDGs達成に貢献すべく、企業、自治体、大学をハブとして繋ぎ、また社会課題をテクノロジーで解決するというビジョンを実現するため、「SDGs」と「未来技術」をテーマとしたアイデアソンやハッカソン、協会オリジナルSDGsボードゲーム会などのイベントを開催しています。ぜひ今抱えている課題解決のきっかけとして活用していただければと思います。

以上、Vonaでした。


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