【6/19開催】未来技術推進協会主催の第9回講演会が開催。富士通の開発した次世代アーキテクチャ『デジタルアニーラ』とは?
【6/19開催】未来技術推進協会主催の第9回講演会が開催。量子コンピュータを実用性で超える!? 富士通の開発した次世代アーキテクチャ『デジタルアニーラ』とは?
6月19日に未来技術推進協会主催の第9回講演会 “量子コンピュータに着想を得たデジタル回路『デジタルアニーラ』”が開催されました。今回ご講演頂いたのは、富士通株式会社の吉田裕之様です。量子コンピュータと同じ原理で、かつ実用的といわれる『デジタルアニーラ』の仕組みや活用例、同技術がもたらす未来について熱くお話頂きました。専門的な技術を素人にも分かるように説明頂き、みな食い入るように聞いていました。
一般社団法人 未来技術推進協会は、2018年6月19日(月)にイベントスペース『FinGATE KAYABA』(東京都中央区)にて第9回講演会”量子コンピュータに着想を得たデジタル回路『デジタルアニーラ』”を開催しました。
今回は、富士通株式会社AIサービス事業本部の吉田様にお越しいただき、今世界から注目を集める最先端技術『デジタルアニーラ』についてご講演頂きました。
『デジタルトランスフォーメーション』。本講演会はこの言葉からスタートしました。これは、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる、という概念です。
世界中で人気を集めている配車サービス『Uber』を例に出し、「例えばUberはタクシーというサービスにデジタル技術を加えて新しいイノベーションを起こしたものだ。不可能に感じるアイデアもITのサポートがあれば実現することができる」と話していました。また、ご自身も、家に帰ったらまずGoogle Homeに今日のニュースを聞くなど、日常生活の中にもITが浸透していることを強調されていました。
「世界には情報があふれており、大量の情報を高速に処理出来るコンピュータが求められている。ムーアの法則が限界を迎えている今、量子コンピュータに期待がかかっている」と語っていました。実際、2011年には、カナダのD-Wave社が、量子アニーリング方式と呼ばれる原理を用いた、組み合わせ最適化問題に特化した世界初の商用量子コンピュータを発表し、世界から注目を集めています。
『量子アニーリング』から着想を得て、デジタル回路を用いて同原理を実現したのが『デジタルアニーラ』です。『デジタルアニーラ』は、計算時に極低温の状態にする等の量子コンピュータが持つ課題をクリアしているため、より簡単でかつ安価に活用できる実用的なシステムとなっております。
組み合わせ最適化問題というと、一見、日常生活とはあまり関係がなさそうに感じるかもしれません。しかし、吉田氏は、倉庫内の移動経路の最適化や創薬における分子類似性検索の高速化、金融におけるポートフォリオの最適化など、組合せ最適化問題は、実生活に繋がる多様な分野で発生しており、『デジタルアニーラ』は幅広い活躍が期待されていると熱く語っておりました。
このように、コンピュータの構造やアニーリング方式といった高度で専門的な内容を、日常生活の一場面を例にわかりやすくお話し頂き、参加者の方々も皆聞き入っている様子でした。
質疑応答の時間では、専門的な質問も飛び出し、次世代の技術であるデジタルアニーラへの関心の高さを感じました。
吉田様は、最後に、「日本が遅れている分野かもしれないが、これからの世の中を創る若い世代には世界に向かって挑戦してほしい」と締めくくりました。
私たち未来技術推進協会は、今回のような講演会を始めとした様々な取り組みを通じ、大学や企業の架け橋となり日本の技術革新に貢献していきます。
【開催概要】
日時:6月19日(火) 19:00~21:30
会場:FinGATE KAYABA
東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場一丁目平和ビル1階
講師:富士通株式会社AIサービス事業本部 吉田裕之様
参加費:一般 3,000円 学生 1,000円
【講師略歴】
富士通株式会社AIサービス事業本部 吉田裕之様
東京工業大学大学院総合理工学研究科修了。
富士通株式会社入社。富士通研究所にて、ソフトウェア工学、人工知能、
オブジェクト指向、量子コンピューティング技術などの研究開発に従事。
2017年3月、北陸先端科学技術大学院大学より博士号を授与。理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員。
UMLモデリング推進協議会経営委員、JEITAソフトウェアエンジニアリング技術専門委員会幹事。OASYS PROMCODE TCメンバー。
著書は「基礎からわかるMDA(モデル駆動型アーキテクチャ)」など多数。