世界が注目する日本企業 ムスカの取り組み!

こんにちは、一護です。
前回の記事では、SDGsおよびパリ協定の達成に向けて、グリーンボンドの発行額が世界的に急増していることをご紹介しました。

今回は、趣向をガラッと変えて、株式会社ムスカの取り組みについてご紹介したいと思います。
ちなみに、有名な某アニメ映画に登場する人物とは関係なく、イエバエの学術名、ムスカ・ドメスティカ(Musca domestica)が社名の由来です。
元は、宇宙での排泄物処理と食料への転換を目指したロシアの研究技術を応用した技術で、そこから実に45年をかけて、1,100世代の選別交配によって創り出されたのがムスカのイエバエだというから驚きです。

なぜここまでイエバエに拘ったのか。そこには、食物連鎖の中に化学物質が一切混ざらない、完全循環のリサイクル農園型の街作りをするというビジョンがあったようです。


なぜ、食糧危機と有機廃棄物問題を同時に解決できるのか

まず、イエバエが食料危機にもたらす効果について見ていきます。
イエバエからは植物用の肥料と動物用の飼料を製造することができます。イエバエの幼虫の排泄物を固めたもの(ペレット化)が肥料に、幼虫を乾燥させたものが動物性タンパク質飼料になります。この肥料や飼料の特徴は、栄養が非常に豊富なことです。例えばイエバエでつくった飼料を食べた魚は、通常の餌で育てるより約4割も大きく育つため、餌の量を半分くらいに減らしても、いままでと同じ大きさの食用魚を提供できます。

次にイエバエが有機廃棄物問題にもたらす効果についてです。
有機廃棄物の一般的な処理方法は、土に混ぜ微生物による堆肥化です。しかし、堆肥化の過程では、メタンガスや亜酸化窒素等の温室効果ガスが発生し、悪臭や酸性雨の原因となるアンモニアが生成されます。加えて、堆肥化させた有機廃棄物を農地に過剰散布すると地下水汚染や悪臭の原因になることや、堆肥化には通常2〜3ヶ月がかかるという効率の悪さも課題となっています。

一方、ムスカのイエバエの幼虫は、わずか1週間で有機廃棄物を摂食、分解します。この圧倒的なスピードが大きな特徴です。なお、摂食は管理のもと工場内で実施されるため大気汚染物質や温室効果ガスの回収も可能です。更に、有機廃棄物が含有する窒素分は、イエバエの幼虫が吸収するため、幼虫の排泄物は低窒素有機肥料となります。そのため、農地に散布しても地下水汚染のリスクを少なくできます。
このように、イエバエによって、栄養価の高い植物用堆肥や動物用飼料の製造と、環境汚染のリスクを抑えた有機廃棄物の処理が可能となります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
私自身、イエバエの可能性にとても刺激されましたが、ムスカの事例を通して、食糧危機に対して昆虫に目を向けるという発想はとても斬新だと感じました。普段の何気ない所に解決の糸口は潜在しているんですね。

私たち未来技術推進協会でも、このような社会課題解決のタネを発掘するため、様々な業界業種の人が集まってアイデアを出し合うアイデアソンや、SDGs達成に向けた取り組みの先行事例が学べるSDGsワークショップを開催しています。
興味がある方は、ぜひ共にSDGsについて学びながら、SDGs達成に向けて具体的なアクションを起こしていく仲間になれれば嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
以上、一護でした。

参考