バックキャスティングで考える「SDGs×トヨタ」

こんにちは、Vona(ボーナ)です。

突然ですが、みなさんは今年2018年の目標を立てたでしょうか?
年始めのお正月に立てる人もいれば、年度始めの4月に立てる人もいるでしょう。
目標の内容も勉強や仕事、はたまたプライベートまで様々あるかと思います。
今回はそんな目標を立てる際の2つの視点である「バックキャスティング」と「フォアキャスティング」について、SDGs(持続可能な開発目標)と企業の取り組み事例を交えながら紹介していきます。


『フォアキャスティング』と『バックキャスティング』とは

フォアキャスティング(forecasting)とは、「過去のデータや実績などに基づき、現状で実現可能と考えられることを積み上げて、未来の目標に近づけようとする方法」。
バックキャスティング(backcasting)とは、「未来のある時点に目標を設定しておき、そこから振り返って現在すべきことを考える方法」。
と定義されています。
フォアキャスティングは一般的に「予測」などの意味でよく使われています。技術の世界では、過去から現在までのデータをもとに「50年後にはこうなる」といった未来を予測し、技術戦略やロードマップを作る際によく使われたりしますね。
一方でバックキャスティングは、もともとスウェーデンの環境保護省がSustainable Sweden 2021というレポートで用いられた事から知られるようになり、環境保護の分野で使われ始めた言葉です。現状の社会や環境ありきではなく、はじめにあるべき環境・ありたい環境を掲げ、それを達成するためのギャップや方法を考える、というアプローチです。

一見、単に視点を変えただけ?と思われがちですが、実はこの視点の差が意外と大きな違いを生み出します。分かりやすく例えると、地図の上で現在地を起点に目的地も決めずに出発する場合(フォアキャスティング)と、目的地を定めてから現在地までのルートを決める(バックキャスティング)という大きな差となります。

ただしバックキャスティングとフォアキャスティングは、必ずしもどちらかを選ばなければならないというわけではありません。現状のビジネスでも目標設定はバックキャスティングで、具体的なアクションプランはフォアキャスティングでというように相互補完的に使うこともできます。おおまかな2つのアプローチの違いについてはイメージできたでしょうか?
それでは次節では、バックキャスティングの手法を取り入れたトヨタ自動車株式会社(TOYOTA MOTOR CORPORATION)の取り組みの事例を紹介します。

トヨタの挑戦『トヨタ環境チャレンジ2050』

2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」という、クルマの環境負荷をゼロに近づけるとともに、地球・社会にプラスとなる取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献するための6つチャレンジを発表しました。

6つのチャレンジ
 ① 新車CO2ゼロチャレンジ:新車平均走行時CO₂排出量の90%低減(2010年比)
 ② ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ
 ③ 工場CO2ゼロチャレンジ
 ④ 水環境インパクト最小化チャレンジ
 ⑤ 循環型社会・システム構築チャレンジ
 ⑥ 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

特に①のチャレンジは、ガソリン車をなくしていくという、これまでの自動車業界を大きく変える取り組みと言えます。大気汚染や温暖化などの環境問題を解決し、まさに持続可能な社会の実現のための企業のあるべき姿と言えるでしょう。
このような「バックキャスティング」が重要な背景には、国連によってSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことが挙げられます。SDGsの基本的な考え方として、2030年という目標年を定め、17のゴールに向かって169の具体的なターゲットに取り組むので、まさにバックキャスティングの手法がそのまま当てはまります。今回のトヨタの事例を始め、「レゴブロック」で知られるレゴ社は、2030年までにプラスチックの使用をやめ、「持続可能な新素材」に変えると発表するなど、この考え方が少しずつ浸透しつつあります。

まとめ

さていかがでしたでしょうか。
今回はトヨタの事例をもとに「バックキャスティング」の概要と活用事例を紹介しましたが、これは普段自分の目標設定をする際にも大切なアプローチかと思います。
自分のキャリアを考えるとき、現在もっているスキルや経験、資格などを中心に考えがちです(フォアキャスティング)。一方でバックキャスティングは、現在の能力は一切関係なく、どのような自分になりたいか、どのような仕事をしたいかを決め、そのために必要な能力やスキルを書き出し、ギャップを明確にすることで理想に近づくことができます。
ぜひみなさんの目標設定にも取り入れてみてはいかがでしょうか。


参考サイト