SDGsリーダーインタビュー 株式会社オフィスバスターズ 取締役会長 天野太郎氏

2025年までに、新規の原料を必要としないオフィス家具工場を作る~サーキュラー社会の実現へ

代表理事の草場です。

SDGsに取り組まれている企業インタビューの第一弾です。
今回は、株式会社オフィスバスターズの天野会長にインタビューさせていただきました。

「2025年までに、新規の原料を必要としないオフィス家具工場を作る。完全循環型工場を実現する。」

そう語ってくださる天野会長にとても心を動かされました。

株式会社オフィスバスターズは、オフィスの什器・備品のリユース・リサイクル、それからレンタル、REに絡む事業展開をしてる会社です。
http://www.officebusters.co.jp/

以下、天野会長へのインタビューです。


記事の内容は、SDGsに特化した部分を抜粋して編集しております。
学生時代、起業のきっかけを含めた完全版を動画で見たい方は、以下をご覧ください。

草場   世界的にSDGsに取り組む流れが来ていますが、実際に取り組んでいる企業は少ないように思います。御社がSDGsに注目するきっかけは何だったのでしょうか?

天野会長 もともと我々は、「もったいない意識」をビジネスに変えていくところを目指しています。社会的事業をやる上では、目指すものと指標が必要と常に考えています。
そういう意味でずっと取り組んでいるのは、CO2の削減です。我々の事業を通してどれくらいCO2削減ができているのかを、早稲田大学のベンチャー企業と一緒にやらせてもらっています。
それ以外にも、世界的標準の枠組みで社会的事業を評価していくものを探していました。その中でSDGsはまさに、我々の目指すものだと思いました。
我々はサーキュラービジネス、循環型のビジネス、循環型経済システムを実現していく上で、まさに目標12つくる責任・つかう責任はビジョンと合ってるなと気づきました。そこで今、SDGsを活用させてもらっています。

草場   ある意味、昔からやってきたことが、SDGsに当てはまったということですか?

天野会長 子供のころから、資源がもったいないという意識が高いんです。総合商社や金融機関を見ていると、欧米的資本主義、グローバリズムに基づいてビジネスをしていると、儲ける人が一番、株主が一番となります。これは、上に行けば行くほど明らかです。欧米的資本主義の大企業の中で勝ち残る人は、とにかく儲けることを考える。儲ける技術のある人が偉くなる、これは間違いなくそうです。もちろんCSRもやっているが、儲けることが大前提です。
私もビジネスが嫌いじゃないですが、儲けるだけでCSRがおまけだと、ちょっと弱いです。
もともとの事業というのは、人々が付加価値を発揮させるステージであり、それが社会に価値が還元されてみんなが豊かになる。この考え方に基づくと、やはり事業そのものが、共有的価値(CSV)、社会に還元できる価値を生み出しています、そうじゃないといけないと思います。その中のひとつとして結果として、売上、営業利益が発生するが、イコール営業利益ではない、という考え方が、もともとあります。
裏を返すと、儲ける、株主に還元できるビジネスは、私は下手かもしれないですね。
だけど、ひとつひとつ価値を生み出して、それぞれの人が強みを発揮できるような事業とかそういうものには、私は強いです。ただそれが今、世の中でいうとそれほど利益が出るものではないです。労働集約型とか言われてますし。
そういうものを目指していたところに、SDGsが出てきました。オフィスバスターズとしては今後、株式上場もしていって資本主義にもとづいた企業として利益を元にした時価総額を形成していくこともやりますが、利益=企業価値、ではないと思っています。
利益とソーシャルバリューを合算したうえで企業価値になる、ということを実現していきたいです、そういう会社の一つになりたい。
そして、そういう会社を増やしていきたい。その中でSDGsという指標は世界標準になってますし、使いやすいです。ぜひ我々も推進していきたいと思っています。

草場   ご自身をよく理解されているという印象を受けます。自分のことをよく知るには、どんな経験がありますか?

天野会長 あまり知れてないと思いますが。いろいろ試しています。インターネット事業とか不動産事業とかもやりました。ビジネスのおもしろいところは、自分の得意分野でないと、付加価値を発揮できないところです。つまり、売上、利益を出せないです。得意だとそこに価値が発揮できます。だからビジネスはおもしろいです。自分の付加価値が見つけやすいです。いろんなビジネスを試してきたので、自分の付加価値の発揮の仕方がわかってきているのかもしれないですね。

草場   多くの人は今まで勉強したことから、この先の人生を決めますが、新しいことを試して自分の得意分野を見つけていくということですか?

天野会長 そうですね、それを皆さんもやったほうがいいと思います。結構、自分の得意なことは、自分が一番理解していないかもしれないので。
そして、ビジネスだと本気になる。サークルではだめです。サークルだと許してくれるが、ビジネスになると、とたんに厳しくなる。お金のやり取りするから。そこで本当に価値があれば、お金が発生する。価値がなければお金が発生しない。これはハッキリ別れます。ビジネスは価値を測るものさしとして、すばらしいものだと思います。

草場   日本企業もどんどんそういう取り組みをしようとしていますが、今のところはCSR的な要素が大きいと思います。御社のようにSDGsでビジネスを考えている企業は少ないように思います。日本企業はSDGsにどう向き合うべきとお考えですか?

天野会長 SDGsの前にはMDGsがあるように、これまで色んな指標がありました。国連ベースでなくても、東京都のベースとか、環境省のベースとか。
今回、国連は世界ベースになっており、さらに京都議定書とかパリ協定とか、いろんな世界の枠組みが動いてます。そういう意味で、国民にもわかりやすいので、SDGsの目標の番号に応じた世界的目標をきちんと周知して、日本として、それに対する民間企業の合算をするとよいと思います、それを日本国として押し出していくといいのではないかと。今は、各企業がそれぞれバラバラに言ってるだけです。
SDGsの良いところはラベルになっていてわかりやすいところです。そして、企業だけでなく、一般市民にもわかりやすいです。各目標に対して、企業の取り組みを合算すれば個人と会社の貢献度がわかりやすいと思います。どこの省庁がやるのかわからないですが、日本国として、取り組みの合算をやってみる。それで参加意識を醸成して、次のステップを考えるのがよいと思います。
今まで施策と比べて、SDGsは全国民にわかりやすいです。国民を巻き込む施策を国としてやったらいいと思います。そこで、日本としての個性が出ると思います。日本の企業体、組織としての特徴はこうだ、と言えるのではないかと。東京証券取引所ではこんな指標を入れるとか、株価のインデックスを作っていく、とかも考えられます。そういう日本としての特徴を、資本市場にも取り入れていけるはずです。

草場   今後のビジョンを教えてください。

天野会長 オフィスを舞台にした什器・備品を循環しながら生産・消費していく、というサイクルを実現したいです。
2025年までに、新規の原料を必要としないオフィス家具工場を作ることです。新規の原料を一切投入しない、オフィス家具を製造し続ける工場を、2025年までに作ります。
これを体現することで、そういうサイクルが実現できるということを証明したい。新規の原料を投入せずに、オフィス家具を製造してレンタルしたり、販売して、リユース・買い取ったり、それをリサイクルで原料に戻してきて、流してまた作って売る。
その中で、新規の原料を投入しなくても、工場、メーカーも儲かるし、販売も儲かるし、使うユーザーも豊かさを享受しながら使える。これを実現したいです。
それを市場の中で実現することで、まず最初はオフィス家具の一部かもしれないが、これを皮切りに、次は別のものを作れるかもしれない。最終的には、自動車でもできるかもしれないし、住宅でもできるかもしれない、そういうふうに、他の産業の方にも真似して頂くようなモデルを作りたいです。

草場   強みに関して教えてください。オフィス家具が強みというとこですが、それは試した結果ですか?

天野会長 商材・サービスはやってるうちにどんどん変わります。私の場合は、前職でOA機器をやっていました。の中で、出てきたのが、オフィス家具や什器、備品。什器・備品は循環型ビジネスに適しやすいということです。
今もオフィス家具は1番取り扱っていますが、2番目はOA機器です。3番目は工事の取り扱いが多いです。オフィス家具もOA機器も、リサイクル、リユース、レンタルしていく中で、工事とか修繕が必要となります。そういう部隊を強化して、循環型ビジネスをやっていくうえでどういう技術が必要なのか、どういう工程が必要なのかを、今、研究しています。

草場   最後に、協会は20代〜30代の若手が多い。今の20代30代の若手に一言お願いします。

天野会長 ビジョンとグラウンディング、という2つの要素があります。
ビジョンは、自分のやりたいことを実現したいということ。グラウンディングは、日々飯を食わなければならないということ。
ここを両立させないと、ビジネスは継続できないです。
グラウンディングは、日々生きていくために価値を発揮する。ぜひ自分の価値を日々測って、お金を稼ぎながらビジョンを実現していく、というのを両立してほしいですね。どちらかに偏ってる方が最近多いです。
資本市場は今、非常に景気が良いです。お金はどんどん出しますというところもありますが、あまり翻弄されないほうがいいです。時代が変わればお金も結構締まるので。
ぜひビジョンとグラウンディングを両立して、実現してほしいです。

草場   ありがとうございました。