自動運転社会の実現に向けた開発動向と戦略 Vol.1

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自動運転社会の実現に向けた開発動向と戦略 Vol.1

こんにちは、Vona(ボーナ)です。
今回の記事で取り上げるテーマは、「自動運転」です。
現在、世界の名だたる企業が参入を試み、激しい開発競争が進められている自動運転技術。

この自動運転技術が社会実装されれば社会へ与えるインパクトは大きく、これまでトヨタやVW(フォルクスワーゲン)などの自動車メーカーとそのサプライヤーが中心だった自動車産業は、人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウド、IoT、ロボティクスなどのIT技術を最大限に活用することで、これまでにない「モビリティサービス」の実現とその巨大なエコシステムで構成されるモビリティビジネスに期待が高まっています。

本記事では、自動運転の概要、開発ロードマップ、実現に必要な技術開発と課題、自動運転によってもたらされる社会について各パートに分けて紹介していきます。


自動運転社会の実現の目的

そもそもなぜ自動運転社会の実現がこれほど注目されているのか?

自動運転社会を実現する狙いは2つあります。

一つに、社会課題の解決がありますある。具体的には、交通事故の削減、交通渋滞の緩和、効率的な運転によるCO2排出の削減、高齢者の移動支援などが挙げられます。
もう一つは、新しい付加価値を創出することです。自動運転技術によって、クルマは運転するものから「快適な移動空間」として捉えることもできます。

実際にBMW、日産自動車(株)などは、クルマに様々なコンテンツを付加することで「リラックスできて楽しめる自動運転モード」をコンセプトとして打ち出していたりします。

また、Uber(ウーバー)は自動運転車をタイヤ付きのモバイルインターネット端末として捉える無人配車サービスを検討しています。

スマホと連携させクルマに搭載されているカメラ、GPS、加速度センサーなど様々な種類のセンサーと通信機能を活用する、新たなビジネスの可能性が広がっています。

このように自動運転社会の実現した先には、数々の社会課題が解決されたよりよい社会の実現と新しい価値の創出によるビジネスチャンスの広がりが期待されています。

それでは現在どこまで自動運転技術の技術開発が進んでいるのか、その開発動向について見ていきます。

自動運転システムの定義

現在、自動運転の技術レベルの規格として、自動車技術者で組織されている米国の非営利団体「SAE(Society of Automotive Engineers) International」が2014年1月に発行した技術基準「J3061」のレベル0~5の6段階モデルが広く採用されています。

SAEレベルは運転を誰が主体で監視するかという観点から、運転者(人)とシステムで各レベルに分類されています。(表1)

表1 自動運転レベルの分類

 
レベル0~2はドライバーが運転環境を監視することを前提としているのに対して、レベル3~5はドライバーは存在するものの、運転環境を監視するのは自動運転システムとしています。

この運転環境の監視を誰がするかとういう観点は、運転責任がだれにあるのかを考える上で非常に重要となります。

自動運転技術の開発動向を見ても開発の方向性は大きく2極化しています。

一つは、クルマにドライバーが乗ることを前提として、ドライバーを支援する技術の範囲を広げていく開発の進め方で、主に自動車メーカーが採用しています。

もう一つは、最初からドライバーレスの完全自動運転車として開発を進めていく方法で、GoogleのSelf-Driving Carをはじめとして、EasyMileなどベンチャー企業も多く参入してきています。

自動運転システムの開発ロードマップ

内閣府に設置されている高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部は今年6月に「官民ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)構想・ロードマップ2018」の中で、今後の自動運転に関する戦略を策定しています。

このロードマップでは、自動運転技術を自家用車での活用、物流サービス(トラック等)での活用、移動サービスなど事業用での活用の3つのセグメントに分類し、それぞれの実装フェーズについて戦略が明記されています
以下に簡単に概要を紹介します。

  • 自家用車
  • ~2020年 一般道での自動運転(レベル2)および高速道路での自動運転(レベル2、3)の市場化
    ~2025年 高速道路での完全自動運転(レベル4以上)の市場化

  • 物流サービス(トラックなど)
  • ~2020年 隊列走行技術の確立
    ~2025年 
    <前半>高速道路での隊列走行トラック(レベル2以上)/限定地域での無人自動運転配送サービスの市場化
    <後半>高速道路での完全自動運転トラック(レベル4以上)の市場化
    ※隊列走行は、先頭車両を基準として複数の車両が列を成して走行する技術。複数の車両を一台で誘導できるため物流におけるドライバー不足への貢献に期待されています。

  • 移動サービス
  • ~2020年 限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)の市場化
    ~2025年
    <前半>高速道路での自動運転バス(レベル2以上)の市場化
    <後半>限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)の市場化

自動運転の社会実装に向けては、技術の確立と事業化の両面からアプローチを進め、自動運転レベルや用途によって、時間、地域等を限定し市場化を推進していくことが、早期の社会実装に効果的といえます。

図1 2025年の完全自動運転を目指した開発ロードマップ
(参考:官民ITS構想・ロードマップ2018)

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は自動運転の概要と開発ロードマップについて紹介しました。内閣府が策定するロードマップに沿って技術開発への資金投入と法整備が推進されると思いますので、実際に企業で開発を担当されている方も大きな枠組みを捉えていくことが重要ではないでしょうか。

次回は、このロードマップに沿った自動運転を実現していく上で必要となる技術やその課題について紹介していきます。

以上、Vona(ボーナ)でした。

参考

書籍

世界自動運転プロジェクト総覧(日経BP社)